「蝉祭りの島」のストーリー

”わしわし”という蝉を追いかけているうち、車にはねられて死んでしまった夫・卓。残されたストリッパーの珠子は、彼の遺骨とお腹の子を抱え、彼の故郷である能古島へ渡ることにした。島で唯一の旅館を営む義母・ウシヲを頼り、あわよくば若女将の座につこうという腹づもりなのだ。ところが、島に着くなり彼女は人気女流作家・秋山陽子に間違われ、村長や助役を初めとする島民から大歓迎の大歓待を受けることに。しかし、調子に乗って陽子になりきってみたものの、島で療養する息子・大樹に会いに本物が現れて、一転、彼女は島民から白い目で見られるようになる。だがそのことがきっかけで、珠子は卓が原因で島で孤立しているウシヲとの距離を近づけていった。実は、卓は数年前に村興しの為に村が購入した一億もする遊覧船を転覆させたていたのだ。さて、島民を騙した罰として、珠子は_蝉祭り_までに村の詰所のペンキ塗りを命じられ、その作業に従事する。そんな中、彼女はウシヲから、島を離れて死んだ者がお盆の頃、わしわしという蝉の姿で島に帰ってくるという蝉祭りの伝説を聞かされる。卓が死んだことをウシヲに伝えられないでいた珠子は、その話を聞いてドキリとする。そして、蝉祭りの夜。彼女は神社の境内で、蝉になった卓の霊を見るのであった。それから数日後、村興しの金が盗まれる事件が起こった。真っ先に珠子が疑われるも、犯人は陽子の再婚に反対する大樹だった。行方不明の大樹を探す珠子。漸く、彼女は大樹を発見するが、足を滑らせて崖から転落。一命は取り留めたものの、流産してしまう。そんな彼女に、村の医師が遊覧船を転覆させたのは卓だけではなく、彼が友人の罪をひとりで被ったことを聞かせてくれた。その話を聞いた彼女は、改めて卓に惚れ直し、また彼の生まれ故郷である島のことも好きになるのであった。そして数日後。卓の死をウシヲに話し、お骨分けをした彼女は、都会に戻り、再びストリッパーの生活に戻るのであった。