「EM EMBALMING」のストーリー

傷ついた遺体に消毒、防腐、修復を施し、生前の姿のままに保存する技術=エンバーミング。その技術者であるエンバーマー・村上美弥子は、ある日、転落死した17歳の少年・進藤由樹のエンバーミングを依頼される。ところが、処置の終わった由樹の遺体から、頭部が切断され何者かに持ち去られてしまった。平岡刑事と共に遺体売買業者を追う美弥子。そんな中、彼女は裏の世界に生きる凄腕のエンバーマー、ドクター・フジという男と接見する。彼は美弥子に由樹事件のヒントを与えてくれたが、美弥子は彼にある疑念を抱くようになる。それは、彼がヴェトナムで行方不明になった彼女の父親ではないかという疑いだった。果たして、ドクター・フジは自分が美弥子の父親であることをほのめかすが、その後、姿をくらましてしまう。ところで、由樹を殺し首を持ち去った犯人が、彼の恋人で多重人格者の篠原里香であることが発覚した。だが、実は彼女と由樹は腹違いの兄弟であったのだ。そして、彼女の父親は信者10万人を抱える大徳院の慈恩総帥。美弥子は慈恩総帥の圧力がかかる中、由樹の双子の兄弟・邦昭と一緒にいる里香を追いつめるが、里香は今生では結ばれることの出来なかった由樹とそっくりな邦昭の体と自分をエンバーミングによってひとつにして欲しいと美弥子に強要してきた。しかし、かけつけた平岡によって里香は射殺され、彼女の遺体は首の戻った由樹らの遺体と共に、美弥子の手によってエンバーミングされる。