「ブルワース」のストーリー

1996年3月。カリフォルニア州予備選挙。現職のクリントン大統領の対立候補として出馬した民主党上院議員ブルワース(ウォーレン・ベイティ)は、マスコミや選挙民から無視されて3日間何も食わず、一睡もできないノイローゼ状態に陥った。絶望の末、彼は17歳の娘を受取人に、自らに1000万ドルの生命保険をかけて、選挙運動最後の週末に殺し屋に自分を暗殺させることを決意。顧問ダイヴァース(ジャック・ウォーデン)の知り合いだというギャングの大物ヴィニー(リチャード・サラフィアン)をひそかに呼び、取引を結んだブルワースだが、死ぬとわかればこわいものはないとばかりに、これまで言えなかった本音を遊説する先々でブチまけ始めたからさあ大変。ただでさえ難題続きで頭が痛い選挙参謀のマーフィ(オリヴァー・プラット)がパニック状態になるのを尻目に、サウス・セントラル地区の黒人教会で見初めた美女ニーナ(ハル・ベリー)と、ヴォランティアをかって出たその友人シェリルとターニャに連れていかれた先のクラブでは黒人に囲まれてラップに興じる。翌朝、演説会場のホテルでお歴々を相手に、演説原稿を無視してラップでいきなり放送禁止用語いっぱいの辛辣な本音の社会批判を大展開。ブルワースヘの多額の献金のみかえりに保険業界に不利な法案の廃案を約束させていた悪徳保険屋のクロケット(ポール・ソルヴィーノ)は怒りを隠せない。突如豹変したブルワースにマスコミが殺到するが、人込みの中にあやしげなサングラスの男を見つけた彼はその姿からしきりに逃げまどう。そばにいてくれるのはニーナだけだったが、実はそれもそのはず、彼女は兄ダーネル(イザイア・ワシントン)の借金返済のためにヴィニーからブルワースの暗殺の協力を命じられていたのだ。ヴィニーが発作で倒れてしまい、暗殺依頼のストップが事実上難しくなった状況のなか、ニーナはサウス・ブロンクスの自分の家にブルワースを連れてきた。汚れたスーツを脱いでグラサンに短パンと黒人ファッションに着替えたブルワースは夜に通りに出て、ストリートギャングのリーダー、LD(ドン・チードル)と彼の手下になっている子供たちから、街の現実を教えられる。直後、彼はそのまんまの格好でクリントンやドールの他の候補と議論を交わすテレビの特番に出演、そこでも強烈なメッセージを吐いた。ニーナの元に帰ってきたブルワースを隠れ場所に案内してから、ニーナは芽生え始めた彼への愛のため真相を告白した。口づけを交わすふたりだが、ブルワースは何日もの不眠のあとようやく心の平安を得たのか、そのまま眠りについてしまった。ブルワースが眠り続ける間に、なんと彼への支持が集まり、ついに上院への指名を受けると同時に、大統領候補の可能性まで出てきた。マスコミの注視のなか、目を覚ましたブルワースはふたたびスーツを着込み、見違えたようなさっぱりした姿で登場。マスコミのマイクの放列を縫って、彼はニーナの姿を探して愛を告白。だが、リムジンに乗り込もうとした彼は、クロケットが物陰から放った凶弾に倒れてしまうのであった。