「ヒロイン!」のストーリー

大阪の下町に暮らす浜崎百合子は、夫と死別して以来、女手ひとつで娘のちなつを育てながら、酒屋を切り盛りしているパワフルな女性だ。店のあるしんみち商店街でも、頼りがいのある姉御として人望も厚い。ところが、その商店街にこのところ嫌がらせが多発していた。どうやら、近所にオープン予定のスーパー長峰のオーナー夫人・長峰紀子が、背後で糸を引いているらしい。しかもこの紀子は、百合子の小学校以来の犬猿の仲だったのである。間もなくスーパー長峰が開店した。商店街はもろにその打撃を喰らい、常連客を奪われてしまう。ここはなんとかしなくてはならない。百合子は、紀子がママさんバレーのチームピンクサファイアのリーダーであったことから、自らも商店街の仲間9人を誘って浪花ボンバーズを結成。バレーボールで対決することになる。しかし、その実力は雲泥の差。ボンバーズは無残なまでの惨敗を喫してしまう。そんな彼女たちの試合を取材していたのが、地元新聞なにわ日報の記者・大橋だった。かつてバレーボールのコーチの経験のある彼を、コーチとして迎え入れようとする百合子。だが、大橋は頑としてその願いを受け入れなかった。何故なら、彼は熱心な指導のあまり有望な選手を潰してしまった過去があったのだ。仕方なく、浪花ボンバーズは百合子を中心として練習をする。しかし、どんなに練習を重ねても他チームとの練習試合に勝てないばかりか、バレーボールばかりに熱中するあまり蔑ろにしていたちなつが百合子に反抗。家族の危機に、百合子は暫くボンバーズを休むことを余儀なくされる。百合子を欠き、士気を失うボンバーズの面々。しかし、バレーボールを忘れられない百合子は再びボンバーズに戻ると、「練習中にた例え命を落とすようなことがあっても文句は一切言いません」という誓約を大橋と交わし、彼の指導の下、猛特訓を開始するのであった。やがて、大阪府家庭人バレーの大会が開かれ、ボンバーズもそれに参加。大橋の特訓の成果もあり、試合に勝ち進んでいった。ところが、またしても問題が起こる。百合子の膝に水がたまってしまったのだ。これ以上バレーボールを続ければ歩けなくなってしまうかもしれない。だが、百合子は浪花女の意地にかけてピンクサファイアとの決勝戦に出場しなければならないのだ。いよいよピンクサファイアとの決勝戦。試合は一進一退の展開を見せる。途中、ボンバーズのメンバーのひとりがオカマだったことがバレるが、ちなつの応援もあって、百合子は膝の痛みを押さえてジャンプサーブを決め、見事優勝を勝ち取るのだった。