「MISTY(1997)」のストーリー

平安時代、由緒ある家柄の青年・武弘に見初められ、彼の家へ嫁入りすることになった真砂は、武弘とふたりで森の中を都へと向かっていた。ところがその途中、ふたりは野獣のような男・多襄丸に襲われる。武弘を縛り上げた多襄丸は、彼が見ている前で真砂ににじり寄った。夜が明けて、森の中に武弘の死体と切り落とされた男の腕が発見される。調査にあたった検非違使たちは、真砂と多襄丸、そして事件の目撃者である少年盗賊・ミミズから証言を得た。ところが、真砂は多襄丸に汚された後に夫との心中を図ったが、夫だけが死んで自分は死にきれなかったと証言し、多襄丸は真砂を自分のものにした後にふたりの男に恥を見られては生きていけないという真砂の願いを聞き入れ、武弘を殺したと証言する。武弘の臨終に立ち会ったミミズは、武弘が男として自害したと言い残して死んだと証言し、3人の証言はそれぞれに食い違いをみせた。検非違使たちは第三者であるミミズの証言に信用性を置き、真砂のそれに嘘があるのではと疑いだす。真砂に心を奪われていた多襄丸は、彼女を庇うために全ての罪を自分で被ろうとしたが、真砂があっさりと自らの証言を翻し、多襄丸が夫を殺したのだと言い切るのを見て愕然となった。あの時、夫とは違う多襄丸のたくましい体に溺れていた真砂は、自分の中に男の体を貪るように求めるもうひとりの自分を感じ、事後、自らの手で夫を殺したのである。多襄丸は真砂の罪を庇うために自分の手を切断し、検非違使に対して嘘の証言をした。ところが、真砂は多襄丸の気持ちを知っていながら平然と彼を裏切ったのである。事件は多襄丸が犯人だとして処理されたが、検非違使たちに引き立てられた多襄丸は真相を口にすることはなく、真実は全て藪の中に葬られた。