「HOBOS ホーボーズ」のストーリー

ストリート・シンガーのツンタは、最愛の女に捨てられ、デビューを約束していた音楽事務所の社長に騙されても、歌うことで自分の全てを表現したいという信念を曲げずに、ストリートで歌い続けた。ツンタはおかしな連中ばかりが集まる街で、借金苦からヤクザに囲われている女優志願のユキや、露店で密輸カセットを売る少女・ナツに出会う。ユキの面倒を見ているヤクザのアキは彼女に売春まがいのことをさせており、そのほかに露店やストリート・パフォーマーたちからショバ代をかすめる地回りや、チンピラのシロウを使って街で女をスカウトさせたりして生計を立てていた。毎日、ストリートでツンタの歌を聞いているユキは、1000円札にメッセージを記して彼に渡す。ツンタは彼女との出会いをきっかけにして、自分にとっての歌とは何なのかを考え始めた。ツンタは、ナツの露店のオーナーのイギリス人・STUや、アキに命令されて男を相手にウリをさせられてから街中の壁にスプレーで落書きをするようになったシロウ、吃音のひどいピエロのタクらとの交流を通じて、自分の変化を感じていく。一方、ツンタを気に入ったナツは、彼の歌を勝手にテープに録音して、元ミュージシャンで今はレコード会社のディレクターをしているシュンに聞かせようとした。しかし、ツンタのデビューを願うあまりシュンの悪事に利用されてしまったナツが死に、ツンタは歌うことにピュアでいようと決める。今日もストリートに立つツンタに、アキから自由になったユキが手を振って去っていった。