「シャ乱Qの演歌の花道」のストーリー

売れないロック・バンドのヴォーカリスト・天草乱之介に、突然歌手デビューの話が舞い込んだ。バンドのメンバーをあっさりと捨てて乱之介は単身上京したが、事務所は掘っ建て小屋の超弱小プロダクションで、しかも、女社長の小池は彼に演歌を歌えと言う。やる気をなくした乱之介だったが、弟子入りさせられた演歌界のドン・鳴門大輔の娘・珠美に一目惚れして、演歌の道に進むことを誓った。鳴門の弟子の人気演歌歌手・黒井ひでとの付き人となった乱之介は、やることなすことドジばかりで早々に破門されてしまう。その翌日から事務所の先輩の岬一郎とのドサ回りの日々が始まったが、そんな乱之介にテレビ出演の話がきた。チャンスをつかむとばかりに乱之介はテレビ局に乗り込むが、黒井の嫌がらせで顔に放送禁止の落書きをされてしまい、急場しのぎにプロレスのマスクを被って登場する。しかし、口からでまかせの苦労話が意外にも受けて、覆面太郎と名乗った彼のデビュー曲「虹色橋」は空前の大ヒットを記録した。突然の大ブレイクに有頂天の乱之介は、珠美が覆面太郎のファンだと知って、日本音楽大賞を狙うことを決意する。大賞発表の日、乱之介は会場に来てくれるはずの珠美がアメリカへクラシック音楽の勉強に旅立つという知らせを聞いて、大賞よりも愛を選ぶとばかりに港へ駆けつけた。しかし、珠美は鳴門の門下生の羽生とともに船に乗り込もうとしている。失意の乱之介は、やっぱり演歌だと急いで会場に戻るが、大賞は乱之介の曲を譲り受けた岬一郎の頭上に輝いた。さらに落ち込む乱之介は、「ロックがハートなら、演歌は心だ」との黒井の言葉に励まされ、ロック・バンド“シャ乱Q”を結成。再び、人気を勝ち取った。