「ケンタッキー颪」のストーリー

殺害された父の仇を尋ねてケンタッキーの山中に踏み入ったケン・マクタヴィッシュは計らずも激しい争闘の中に巻き込まれてしまった。そこではハーランドとマクタヴィッシュの一族が反目して時折銃火を交えていたのである。ケンは耳の不自由なヴァイオリン弾きに身をやつして仇を捜すうち学校の女教師をしているコーラル・ハーランドと会い親しい仲となったが彼女に想いを懸くるレムはこれを見て、敵意を表わしはじめた。或る踊りの夜ケンとコーラルはレムの眼から逃れるために姿を消した。耳が聞こえないのを装ったことが問題となって山の裁判が開かれた時ケンは召喚に応じて出頭し、変装した事実を悪びれもせず承認し、父の仇を捜しつつある身であることを打明けたが、この時またハーランドとマクタヴィッシュ両族の間に争闘が開始されて山は血腥い空気に包まれてしまった。レムとその弟のアブナーはケンを亡き者にせんという考えからコーラルの名を使った手紙でケンを学校へおびき寄せんとした。手紙の手蹟はかつてケンの父が死の直前受取ったものと同じであった。コーラルは彼等の計略を知ってケンを救う。ケンは激闘の末レムを倒す。そしてまた父の殺害者がアブナーなることを知ったケンは一策をめぐらして彼を棺に押しこみ同僚のラスティーを葬うような顔をして運び去ろうとする。ハーランドの一党は彼を追った。馬車が破壊したのでやむなくケンはアブナーを馬に乗せ鉄道線路の所まで来た。その時一両の無蓋貨車が連絡から外れて動き出さんとしていたのでケンは仇をそれに載せてしまう。貨車はそのまま断崖に向って速力を加えていく。かくて首尾よく仇をうち山に帰ったケンはコーラルと結婚した。久しい間の反目もここに終りを告げたのであった。