「東雲楼・女の乱」のストーリー

明治20年、九州の温泉芸者に売られてきた5歳の志津は見習い芸者の鶴と姉妹のように親しくなる。20年後、鶴は九州一の遊郭・東雲楼の女将に納まり、志津はその下でお茶子頭として働いていた。志津は鉄道工事労務者の執行と所帯を持ちたいと考えたが、逃げ腰の執行に鶴は強く反対。そんな時、鶴のパトロンで相場師の山岡が事業に失敗し東雲楼を訪れた。鶴は山岡の再起のため東雲楼を担保に入れ有働組から資金を用立てるが、東雲楼を我が手中に収めたいと考える組長と情婦・照香の陰謀によって山岡は失脚、入水自殺を図るはめに。東雲楼が有働組の手に渡る期日を前に途方にくれた鶴に代わって借金の肩代わりを頼み歩く志津。奮闘の未返済のめどはつくが、鶴は山岡失脚の原因は第三者に漏らした志津の責任と、彼女を東雲楼から追放する。縁を切られた志津は執行と所帯を持つことを決意する。その時2人は有働から、東雲楼の女将になる照香の補佐を命じられる。鶴に恩がある志津はこの話を断るが、それを聞いた有働は山岡の後を追って自殺した鶴を罵る。激しい怒りにかられた志津は、有働を殺して執行とふたりで逃げ去り、残された東雲楼は照香がしっかりと繁盛させるのだった。