「霧の子午線」のストーリー

クローン病という難病に犯されたちぎり絵師の沢田八重は、二度目の手術を受けた2年後、東京から函館へ引っ越した。八重を出迎えたのは大学時代からの親友で学園闘争をともに闘った、「函館日報」の記者・鳥飼希代子だった。彼女には文化部の後輩である高尾耕介という年下の恋人がいた。しかし、耕介はちぎり絵を出版する八重を取材した日、彼女と肉体関係を持ってしまう。手術の醜い傷がもとで恋人と別れていた八重は、希代子に後ろめたさを感じながらも、自分を愛してくれる耕介に気持ちを寄せていった。ふたりの関係に感づいた希代子は、八重の命がそのことで燃え続けてくれるのならという思いから、咎める気持ちを押さえていた。ある日、八重にひそかな憧れを抱いていた希代子のひとり息子の光夫は、耕介が八重の家から出て来るところを目撃する。光夫は八重に思いのたけをぶつけたが、彼女に手術の傷を見せられて愕然とする。その晩、八重は光夫に彼の本当の父親のことを話した。学生時代、八重の恋人だった淡路新一郎は、次第に希代子にも恋情を抱くようになり、彼女と肌を重ねてしまった。八重はそれを咎めず、3人で奇妙な生活を始めるが、そんな関係に耐え兼ねた新一郎はふたりを残して外国へ身を隠してしまったのだ。その後、希代子が妊娠していることが分かり、そうして生まれたのが光夫だった。新一郎がノルウェーのベンゲルンに住んでいることを知った希代子は彼のもとを訪ね、八重も心配して希代子の後を追った。ふたりはそれぞれの思いを語り合い、ダンスを踊るが、突然に八重が倒れ、そのまま帰らぬ人となった。親友を失った希代子はベンゲルンの湖に向かって、八重の名前を何度も叫んでいた。

今日は映画何の日?

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