「悪魔の踊子」のストーリー

チベットの山奥深くに黒人のラマ僧による不思議な僧院がある。そこでは奪い来った女子を育てその女子が長じた時、巫女として悪魔崇拝の儀式に舞を舞はさせる慣はしがあった。タクラは、白人の宣教師の娘として生れ来た身ではあったが、今はこの地へ掠はれて来て悪魔の踊子を務める身となっていた。が、ある時英国の探険家スティヴンはこの僧院に密かに忍び入って、彼はタクラが白人であり、この僧院に囚はれ人となっているのを知り、彼女をこのところから救い出そうとする。秘密の忍び合いに2人の間に恋は芽生えた。斯くてこの恋人2人はある夜僧院を首尾よく逃れ出て、隊商の一隊と共に白人の住む国境の村落へと辿り着いた。ところが、同じくこの村へデルフィからのノーチの踊子の一団が来た。それを率いているハッシムはタクラの美しいのを見て、己れの一団に加えんとした。スティヴンの姉イサベルはかねてタクラに心よからざりし折とて、ハッシムの謀みに力を籍し、タクラを誘拐せしめた。スティヴンは斯くとも知らずタクラの跡を尋ね廻ったが、見出す術とてはなかった。やがてノーチの一団はデルフィに帰って行った。その間、ハッシムの毒牙からよくタクラを護り、タクラを慰めていたのはこの一団にいる孤児のキム1人であった。が、タクラはその苦しさに堪えかねてキムと共にそこから逃げようとする。そうした時に、スディヴンはタクラありとも知らずにその友たちと共にこのノーチの祠を訪れた。同時に長々とタクラの跡を訪ね廻っていたサディク・ラマがようやく彼女の居所を知って連れ帰りに来た。そうしたことの粉糾から騷動が起り、その際、キムはサディク・ラマのために瀕死の傷を負はされた。が一方、スティヴンはハッシムとサディク・ラマとを打負して、首尾よくタクラを救い得たのであった。