「奈緒ちゃん」のストーリー

地域の小学校の身障児学級に通う奈緒ちゃんは、お母さんの信子さんに手を焼かせっぱなし。遊びたい盛りの奈緒ちゃんを毎朝途中まで見送る母は、その先がどうしても心配で結局学校までついて行ってしまうのだった。しかし、それがきっかけで信子さんは奈緒ちゃんと同じ学級に通う子供のお母さんたちと仲良くなっていく。奈緒ちゃんの生活の中心は、家のすぐ前にある公園にあった。信子さんの意向で病気のことを公表していた奈緒ちゃんは、そのおかげでかえって差別を受けることなく、近所の友達との友情を深めていくのだった。そして、信子さん自身も、同じような障害を持つ子供を抱えるお母さんたちが集まって内職しながら悩みなどを話し合う会が設けられ、それに参加する。やがてその会は奈緒ちゃんの成長に合わせたように大きくなっていった。奈緒ちゃんが中学へあがる頃には、ボランティア団体“ぴぐれっと”の事務所まで構えるようになり、その活動は地域に認知されていくのだった。信子さんは、奈緒ちゃんという子供がいたからこそ、こんなにも多くの人との交流が持てたのだと語る。そんな奈緒ちゃんも今はもう20歳。立派な大人としてはばたこうとしていた。