「スキヤキ」のストーリー

横浜・伊勢佐木町にボストングリルという洋食屋さんがある。ここには主人の良平と、双子の姉妹・由香と理香、祖母の花子の四人が暮らしていた。一見幸せそうに見える一家だったが、実はそれぞれに問題を抱えている。由香はてんかんの持病を持ち、理香は結婚を焦る恋人・河野との愛に行き詰まり、そして花子は重度のボケが進行していたのだ。そんなある日、郵便局に勤める理香は、船乗り風の男・達也から美味しい食堂を訪ねられ、ボストングリルを紹介する。薦められるままボストングリルへ行った達也は、料理のまずさにいちゃもんをつけたが、実は彼が船のコックだということが判明。火傷を負った良平は、彼に店を手伝ってもらうことになる。しかしその翌日、達也は無断で店を休むばかりか、自分の代理人という青年・真一をよこしてくる。達也の勝手な振る舞いに憤りを感じる理香たち。だが、頼りなげなその風貌とは裏腹に、真一は真面目によく働き、料理の腕もなかなかであった。一方、彷徨癖のある花子は、その頃偶然達也と仲良くなり、彼の姿に亡夫の面影を見いだすようになっていた。執拗に達也に会いたがる花子に困り果てる三原一家。そんな状況を知ってか、ある日達也は三原家を訪れ、駄々をこねる花子を宥めるのだった。達也の意外な優しさを垣間見た理香は、心の中で微妙に変化していく何かを感じていた。クリスマスイヴ。河野とその父親との会食を控えた理香は、勝手に進行する結婚の話に心の整理がつかなくなり、由香に身代わりとなって出てもらう。だが、その席で由香はてんかんの発作に倒れてしまい、縁談はご破算になってしまうのだった。しかし、これらの事件をきっかけに三原姉妹は、自分に正直に生きることを学ぶ。今や自分がてんかんであることを恥と思わなくなった由香は、真一との結婚を前提としたつきあいを承諾し、理香もまた自由奔放な達也にひかれていくのだった。成人の日、晴れ着に身を包んだ三原姉妹は、正月に他界した祖母のことを思いながら、夕食はスキヤキにしようと語り合っていた。

今日は映画何の日?

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