「グリニッチ・ビレッジの青春」のストーリー

ラリー・ラピンスキー(レニー・ベイカー)はユダヤ人の両親をもつ、ブルックリン生まれの22歳、俳優志望の青年だ。1953年、カレッジを卒業すると同時に勉強のためにグリニッチ・ビレッジに旅立とうと決めていたが、過保護の母親(シェリー・ウィンタース)は猛反対だった。子供のようにラリーのグリニッチ・ビレッジ行きに反対する母親を、息子のよき理解者である父親(マイク・ケリン)が優しくさとし、ラリーの望みはようやくかなえられることになった。グリニッチ・ビレッジには、俳優、作家、画家の卵がうようよしていた。ラリーはアパートを見つけ、そんな若者たちのグループの仲間入りした。アニタ(ロイス・スミス)という自殺癖のある厭世家、詩や脚本を書いているロバート(クリストファー・ウォーケン)、ホモの黒人バーンスタイン(アントニオ・ファーガス)、気のいい娘コニー(ドリ・ブレナー)、セーラ(エレン・グリーン)、画家のバニーなどがその仲間で、やがてラリーは、セーラと肉体関係をもつようになる。彼は食べていくために、昼は健康食品を売るアーブ(ルー・ジャコビ)の店で働き、夜はハーバートの演劇教室に通って演技指導を受けた。数カ月後、セーラは妊娠した。ラリーは結婚を申し込んだが、セーラは中絶するといいはり、結局、ロバートが親しくしている女医マーシャの手術を受けた。セーラが健康をとり戻すと、ラリーは1ドルの会費で自分のアパートでパーティを開き、仲間を集めた。厭世家のアニタは近いうちに船員と結婚するといい、ホモのバーンスタインもその船員に一目惚れしたとご機嫌だった。パーティたけなわのとき、ラリーの両親がひょっこりやってきた。母親は若者たちを相手にして踊り、はしゃいだ。彼女はパーティが終わると、ラリーとセーラが肉体関係までありながらなぜ結婚しないのかと責め、そんな2人の気持が理解できないままプリプリと怒って帰っていった。数日後、アニタがまた自殺を企てた。前回は両手首の静脈を浅く切っただけで命はとりとめたが、今度は頸動脈を切ったために助からなかった。仲間たちはアニタの死を悲しんだ。特にバーンスタインはうちひしがれた。ラリーがフォックス映画のタレント・エージェントの手を経て、映画のスクリーン・テストを受ける日がきた。結果は1、2週間のうちにわかるはずだった。ロバートは、たまり場のカフェで仲間たちに、メキシコ行きを提案したのはそれから間もないことだった。コニーもそれに加わるらしく、ロバートは黒人のバーンスタインも引っぱっていくといった。このあとで、セーラを誘って自分のアパートに帰ったラリーは、彼女がロバートと肉体関係をもったことを知り、彼女を殴り厳しく責めた。そこへラリーの両親が、近くまできたのでついでに寄ったといって訪ねてきた。母親はラリーに、セーラと正式に結婚するよう再び勧めた。すると、急にセーラはラリーに別れて告げて出ていってしまった。母親はますますラリーとセーラの気持が理解できなくなり、「私にはグリニッチ・ビレッジがわからない」とつぶやいた。ラリーが待ちに待ったスクリーン・テストの合格通知が来た。彼はハリウッドへ立つことになった。母親は、ラリーと別れるのがつらそうだった。別れの朝彼女は、ラリーにいった。「祖母がポーランドから、あらゆる迫害を受けながら亡命してきたことを忘れないで、常に身のほどを知り、思いあがるんじゃないよ。ハリウッドでクラーク・ゲーブルに会ったらよろしく」。