「斬殺せよ 切なきもの、それは愛」のストーリー

昭和10年の東京・新宿二丁目の遊郭・昭和楼に雛妓として売られてきた千代は、そこの稼ぎ頭のお雪をはじめとする女郎たちの姿を目の前にして覚悟を決めたかのように黙々と生活していた。この辺りは稲葉組三代目組長・定吉の仕切るシマである。ある日、そこに定吉の兄貴分の直次郎がやって来る。直次郎はふとしたことから警官ともめごとを起こすが、それを助けたのは近衛歩兵隊中尉の丹下だった。丹下はかつて郷里で将来を誓い合ったセツという名の娘を捜していた。丹下に親しみを感じた直次郎は、定吉の協力を得てセツを捜し出すが、それはお雪だった。再会した二人はその夜、失った過去を取り戻すかのように固く抱き合った。数日後、昭和楼ではまだ若い小春の水揚げの日を迎えていた。その日、たまたまお雪を訪ねて来ていた丹下は、力ずくで水揚げされようとしている小春の哀しい声を聞き、助けに出ようとするが、たとえ小春を救っても代りに千代が犠牲になるだけとお雪に止められてしまう。ガク然とする丹下、彼は何かを決意するかのように軍刀を抜き、その光る刃先を見つめていた。そして昭和11年2月26日、昭和史の中で最も熱く燃えた事件が起こる。それは世にいう二・二六事件だった。そこで若き生命を散らす丹下。同じ頃、千代も水揚げの日を迎えていた。数日後、丹下の死を知ったお雪は、彼を追うように自殺してしまう。死際に千代のことを直次郎に頼み、お雪は孤独に死んでいくのだった。直次郎は千代を昔世話した大企業の社長のもとへやり、千代は満洲へ行くことになる。そしてそれを見送る直次郎は警察に捕えられ破滅へと向かうのだった。

今日は映画何の日?

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