「悪の港」のストーリー

スカーボロウで大胆極る銀行強盗が行われてから2年も経って未だ犯人があがらなかった頃のことである。若い悪党ヒュウイーのいる刑務所へ新しく入って来た男があった。世の中にいる頃はポップと言われた男、今では7769号が通り名である。彼はヒュウイーと近づきになって偶然のことから、ヒュウイーが銀行強盗の犯人であること、それからブラッキーという男がその親分であることをも知った。ところが、このポップは実は大胆な私立探偵であったのである。彼は証様を握って刑務所を出ると、スカーボロウのキャバレーへ行きブラッキーに会い、それから2人してとあるホテルに行ってヒュウイーの出て来るのを待つことになった。ホテルにはメリーという美しい女が事務を執っていた。ブラッキとポップとはメリーを張り合ったが、メリーの心はポップにあった。ヒュウイーが出獄していよいよ2年半の間も埋めて置いた大金を銀行の窖から取り出すことになった時、メリーは突然ポップの探偵であることを告げた。彼女はヒュウイーの姉であったのだ。かくてポップは縛られた。ヒュウイーとブラッキーとは金を取り出して用意して置いたヨットによって逃れるのである。その際、ブラッキーはメリーを欺いて同船させた。ポップは縛めを脱して水上警官隊と共にヨットを追いかけた。逃れる悪漢と追う警官との間に激しい銃火戦が開かれた。ブラッキーはこの戦いに悪党の親分らしい立派な最後を遂げた。ヒュウィーはポップの情けで見逃してもらった。そしてメリーとポップとは幸福に結ばれるのである。