「孫悟空(1959)」のストーリー

今から二千年ほど昔の話である。唐の都・長安は、飢餓と疫病がつづき、荒廃した。帝は天竺にある三蔵経を預ってきて祈れば国の苦しみもなおると考えた。使者には玄奘という少年が選ばれた。帝は彼に三蔵法師の名を与えた。国境から先は山賊がいて危険だと、警備隊長の王祥がついてきた。彼は山賊から三蔵をかばいながら死んだ。観音様の使いのポンが現れ、生き残った三蔵を五行山へ導いた。三蔵はお釈迦様から岩に五百年とじこめられていた孫悟空を助け、お供にする。悟空は翠蘭という娘にしつこくいどむ豚の化物をこらしめた。八戒という名を与え、お供にした。流沙の渡では河童の化物がお供を自分で願い出た。天竺につき、人間の姿にかえりたいという。悟浄と名づけられた。氷河の峠を越えると、悪魔の国になる。悪魔たちは仏の申し子の肉を食えば一万年生きられると待ちかまえていた。金角は洞窟を寺院に変え、一行をとめてやり、三蔵を釜ゆでにしようとした。悟空は蜂に化けて三蔵を助けた。砂漠で黒い大旋風が三蔵をさらっていった。銀角のしわざである。さらにポンに化けて悟空たちをたぶらかそうとするが、悟空は地下室から蜘蛛にされた三蔵を助けだす。こんどは銅角が小娘に化け花輪にギ装した鉄の首カセを三蔵にかけようとした。悟空は次々と現れる銅角の化けた女を打ち殺した。三蔵がたとえ悪魔でも殺してはならぬとしかった。悟空は怒り、自分の山へ帰った。悪魔大王は市長に化け、三人をホールへ招き、人間椅子へかけさせ、捕えた。ポンの知らせで、悟空がかけつけ釜ゆで直前の三蔵たちを助けた。が、彼は大王の毒気に対抗して最後の一本まで毛を抜いてしまったので、倒れたのだ。そのとき、八戒が洞窟の天井を掘り抜き、太陽が射しこんだ。大王たちは溶けてしまった。三蔵は悟空の死を嘆いた。ポンが観音様の気付薬を持って現れた。それで、悟空は人間になって生き返った。人の役にたったからである。--天竺へさしかかる峠についた。ポンの歌声が三蔵法師たちを導くように響いた。