「空中大脱走」のストーリー

1943年、大戦の最中、O・S・S(米国戦略事務局)仕官ハリー(ダグ・マクルーア)は重大な任務を背負っていた。それは、飛行士として身分を偽っている核物理学者ホールデン・ブレビッグ(ルネ・オーベルシュヌア)の本当の身分を、ドイツ・ゲシュタポに知られる前に、ナチス収容所から救いだし、国外に逃亡させることだった。彼はブレビッグをヘルムシャーベンの収容所で見つけ、連合軍の空襲の最中にまんまと救出し作戦は成功したかに見えたが、国外逃亡の試みはドイツ軍の厚い壁にはばまれ、再び、絶対に脱出不可能といわれるベックスタットの収容所にぶち込まれてしまう。それはまぎれもない“砦”だ。スイス国境から16キロしか離れていないが、高い断崖にそびえ立つ、厚い壁のこの収容所は、指揮官シラー(リチャード・ベースハート)の監視のもと、頑強さをほこっていた。さらに捕虜のボス、モーガン陸軍大佐(チャック・コナーズ)も1眼見たときからハリーを嫌った。彼は、捕虜の1人、ファーカスが収容所の壁からあげていた“紙だこ”から、脱出計画の大きなヒントを得た。吹き上げる谷からの風を発見したのだ。ハリーは、収容所の図書室に入りびたりのエンジニア、フィッツジェラルドの助けを得て、屋根裏部屋で2人乗りのグライダー脱出計画を実行に移した。この計画は、トンネル掘りで脱出しようとするモーガン以外の多くの捕虜たちの助けを得、針金、くぎ、テーブルといった製作部品が方々から集まってきて着々と進んだ。だが捕虜たちの気運が高まるにつれシラーは疑いを持つようになり、ハリーに脱走計画の暴露を迫った。ハリーは重大な任務を重い、心ならずもモーガンのトンネル計画を密告し、時間を稼いだ。モーガンは独房にぶち込まれたが、その間、計画は完成まであと1歩というところまで進んだ。数週間後、独房から釈放されたモーガンはハリーに殴りかかった。ハリーは真相をあかすべきときがきたと感じ、自分の任務の全てを語った。そのとき、グライダーの作業所にゲシュタポがやってきた。脱出するなら今以外にチャンスはない。だが、おもりに使っていた風呂おけがずりおちて、ハリーは下じきになってしまった。作業は秒をあらそっている。ハリーは、モーガンにブレビッグを安全に脱出させてくれるよう頼んだ。ドイツ兵が部屋にとび込んできて、彼らを捕まえようとする。その瞬間、つなは切られ、グライダーは歓喜する囚人たちの見守るなかをモーガンとブレビッグを乗せてスイスへの飛行を開始していた。