「ギャング紳士録」のストーリー

世界の恋人として一時代を画した伊達男ジョージ・ラフト(レイ・ダントン)は1916年、ニューヨークの貧民街で生まれた。1920年代も終わりに近づいた頃彼は街のちんぴらやくざになっていた。ダンスが上手だった彼は、やがてナイトクラブのショウ・ダンサーとして脚光を浴びるようになった。ある日のこと、彼は女友達のシェラ(ジュリー・ロンドン)とクラブで語り合っていた。そのとき土地のやくざが因縁をつけ、ナイフをふりかざして躍りかかったが彼は見ごとに相手を倒して男を上げた。そんなことから、暗黒街の顔役フレンチーと知り合い、彼の片腕となって名をあげるようになった。ラフトはこうして悪の道に足を踏み込み、非合法な荒稼ぎの片棒をかつぐ一方、芸能人としても当確をあらわし、シェラと組んでナイトクラブに出演、人気を呼んだ。その後、エル・フェイというクラブに移りそこの人気スター、テキサス・ガイナン(バーバラ・ニコルズ)と知り合い、さらに煙草売りの娘ルース(マーゴ・ムーア)を好きになってしまう。このルースをめぐる土地の顔役との争いで、危く命びろいした彼はテキサスがハリウッドへ移ったのを追って、命の安全をはかった。ハリウッドで、映画出演のチャンスを狙っていた彼は、顔役を振り出しに、だんだんと注目を集め「暗黒街の顔役」では一躍抜擢されて絶賛を博し、ギャング役者として知られるようになった。彼は俳優としては非情にすぐれていたが持ち前の短気から、すぐトラブルを起こすのが常だった。人気女優リザ・ラング(ジェーン・マンスフィールド)との贅沢な同棲生活からくる経済上の危機はそんな彼を再び暗黒街に引きこんで行った。たまたま顔役の一人が警察に検挙されたとき、ラフトとの関係が明るみに出され、彼の人気は下降線をたどった。ハリウッドに見切りをつけた彼はキューバに渡り、とばく場兼ホテルを経営して、成功したものの、カストロの革命で、これも僅かな期間で幕を閉じ、ハリウッドにカムバックをはかった。「私はギャング役はもういい。実生活そのものがギャングの生涯だから」とは彼の弁である。