「悪を呼ぶ少年」のストーリー

1935年、コネチカット州ベコット・ランディング村にペリーという旧家があった。ペリー家は去年の秋、アレクサンドラ(ダイアナ・マルダー)の夫バイニングが不慮の死をとげるという不幸に見舞われた。彼が納屋の地下室にリンゴを貯蔵しに行ったとき、重いトラップ・ドアが彼の頭に落ちてきたのだ。そのため、アレクサンドラは半病人となり、ベッドに伏す日が多くなった。アレクサンドラの母エーダ(ユタ・ヘーゲン)は優しく、双生児の孫たち、ナイルズ、(クリス・ユドヴァーノキー)、ホランド(マーティン・ユドバーノキー)に、昔彼女が祖母から教えられた遊びを伝えた。それは、木でも花でも人でも、1つの対象をじっと見つめて精神統一すると1時的な現象ではあるが、その対象物になれるという、1種のテレバシー風の遊びだった。10歳になる双生児は、10分先に生まれたホランドがヤンチャ坊主で神出鬼没なのに対し、弟のナイルズは心が優しく、いつも兄ホランドのあとについて廻り、そのいたずらの尻ぬぐいの役目をするといったふうだった。ある日ナイルズは納屋の地下リンゴ貯蔵庫の中にうずくまっているホランドを発見した。ナイルズはポケットから空きかんを取り出し、中から鷹の彫りものをした黄金の指輪をだした。そのとき従兄ラッセルが突然現われ、指輪を見つけて、それは双生児の父が死んだとき埋葬されたはずだといい、ジョージ伯父(ルー・フリッゼル)にいいつけてやると脅かした。数日後、納屋で遊んでいたラッセルが、つんである補し草めがけて2階から飛び降りたため、干し草の中に隠してあったサスマタに胸を貫かれ、死んだ。この事件を契機に、ペリー家は死と恐怖の影に覆われ始めた。アレクサンドラは更に激しいショックに見舞われ、1歩も室から出なくなった。ペリー家の隣に住むロー夫人が、ホランドの投げ込んだネズミを見て気絶し、そのまま息を引き取った。そして指輪の入っていた空きカンには切断した人間の薬指が入れられた。ある日、エーダは、ホランドがロー夫人の家に置き忘れたハーモニカを発見し、恐ろしい事実が次第に明るみにでた。このおそるべき事実にもはや彼女は眼をそむけることはできなくなった。ナイルズが切断された指をもっている謎、アレクサンドラが庭の古井戸を見ておびえた謎、父親とラッセル、ロー夫人が不慮の死をとげた謎、更に双生児の姉の、生んだばかりの赤ん坊が行方不明となり、遺体となって発見された謎、ここに至って、エーダはついに呪われたペリー家の恐ろしい悲劇の謎を解くきっかけを見いだした。すべての事件の犯人はナイルズだったのだ。そして兄のホランドはすでに死んでおり、祖母エーダによって、教えられたテレパシーによって、ナイルズの心にだけホランドが存在するにすぎなかった。鷹の彫り物がある指輪は父の墓から、指もろとも切断したものだった。エーダはこれ以上生きられぬを思い、ナイルズを共に納屋に引っ込み、火をつけて自殺を計った。しかし、抜け道を知っていたナイルズは、火が廻ると素早く納屋から脱出したため、全焼した現場からはエーダの焼死体しか発見されなかった。