「キラー・エリート(1976)」のストーリー

真昼のサンフランシスコ。街角のビルの中から1台の車が猛スピードで飛び出してくると、間髪入れずそのビルは大爆発を起こした。車にはマイク・ロッケン(ジェームズ・カーン)、ジョージ・ハンセン(ロバート・デュバル)、亡命政治家ボロドニーが乗っていた。ロッケンとハンセンは共に民間援護組織『コムテグ』に所属する超一流エージェントだ。ボロドニー救出に成功した2人は、しばし娼館でくつろいだのち、隠れ家に潜むボロドニーを見舞った。ロッケンがシャワーを浴びている間に、ハンセンはボロドニーのこめかみをぶち抜き、続いてロッケンの左肩と膝を射ち抜いた。『なぜだ……』薄れゆく意識の中で、彼はいつまでも叫んでいた。『コムテグ』の幹部キャップ、コリス(ギグ・ヤング)、ウェイバーン(アーサー・ヒル)らも駆けつけてロッケンの大手術が敢行された。手術は成功したが、医師の話では歩けるまで最低1年かかり、肩と膝の関節は元に戻らないという。看護婦エイミーの協力を得て、ロッケンのリハビリテーションが開始された。やがて車椅子も捨てられ、シスコの空手道場で太極拳も習った。強靱な体力とハンセンへの飽くことなき復讐の一念がロッケンの回復を早めた。ある日、突然キャップ、コリスが彼の前に姿を現わし、新しい任務を依頼した。アメリカ滞在中の台湾の政治家ユン・チャン(マコ)を護衛し、無事に国外に脱出させたいという。しかし本国の暗殺隊が動き始め、その中にハンセンも加わっているときき、彼は決断した。ロッケンはかつての旧友で運転のエキスパート、マック(バート・ヤング)と『気狂い』の異名をとる射撃のプロ、ジェローム・ミラー(ボー・ホプキンス)を仲間に入れ、コリスの司令のもと行動を開始した。ロッケン、マック、ミラーの3人はチャイナタウンへ向かった。隠れ家でチャンと娘のトミー(ティアナ)を保護したが、ハンセンをまじえた暗殺隊に包囲されていた。殺しのプロ同士の凄まじい銃撃戦が展開され、どうにか3人はチャン親娘を守って脱出した。ロッケンがコリスに連絡をとるとスイサン湾の廃船場でチャンを脱出させる手はずだという。ところが、時を同じく埠頭でコリスの連絡を待っていた男がいた。ハンセンだった。夜、虚を衝かれたロッケン側はハンセンにトミーを人質にとられた。だが、ハンセンの背後からミラーのショットガンが火を吹いた。呆然と立ちすくむロッケンに、絶命する直前のハンセンの言葉がつき刺さった。『俺とお前は、1人の人間の指令で動いていたのさ』。巨大なスクラップが辺りを圧するスイサン湾。覆面の暗殺隊が音もなくロッケンたちに襲いかかった。鋼のプロテクターを強力な武器として、いまやプロファイターとして完全に立ち直った不死身のロッケンに東洋の暗殺集団は敵ではなかった。そしてコリスの姿を認めた彼は、復讐の1弾を肩と膝にぶち込むのだった。