「気まぐれ女優」のストーリー

7年前にニューヨークへ勉強に行ったドナルド・アンソニーが一人前の新進劇作家として錦を飾って故郷なるヴァージニア州マグノリア・ギャップへ帰って来たので町の人々は大歓迎をした。停車場へ出迎えに行った大勢の町民の中にはフェアファックス夫人と2人の娘ベティーとマージョリーも混っていた。なかんずく演劇狂いのベティーは大喜びであった。その晩にはドナルドはフェアファックス夫人邸の晩餐会に招かれたが、席上ベティーは大はしゃぎにはしゃいで見せてドナルドを楽しませた。その翌晩はフェアファックス夫人は更に音楽舞踏会を開いてドナルドを招待した。ベティーは黒人の女に扮して滑稽踊をして見せた。ドナルドは彼女の無邪気な美しさに心をひかれて結婚を申し込む。ベティーはかねてから舞台に出て見たくて堪らず、ドナルドの帰省を絶好のチャンスと思っていたので、彼の新しく書きおろした戯曲の主役を振ってくれれば結婚すると約束した。かくてベティーは天にも昇らん思いで舞台に立ったのであるが大失敗であった。彼女は余りに純すぎ余りに世間を知らな過ぎて劇中の人物になり切れなかったのである。彼女はそれではと決心しニューヨークへ世間を勉強するために誰にも黙って出掛けた。ところが彼女が訪ねて行ったのは怪し気な区域だったのでドナルドは驚いて後から追って行った。ベティーは変な下宿屋に落ついて同宿の者たちと騒いでいたが、ドナルドが宿の主人と話をしているのを立聞きした。夜更けに悪漢の1団が凶器を手にして押込んで来た時彼女は僞強盗と思込んで大乱闘が始っても平然としていた。結局ベティーもドナルドも助かったが彼女はすっかり閉口して芝居熱も何も冷めて了った。それでその後ドナルドが彼女にまた1役振ろうかと言った時自分に1番相応わしい役割は「ドナルドの妻」であると答えた。