「希望の街」のストーリー

アメリカ・ニュージャージー州ハドソン・シティ。イタリア系の青年ニック(ヴィンセント・スパーノ)は父ジョー(トニー・ロー・ビアンコ)の建設会社の工事現場で働いていた。しかし、人生の意味を見い出せずにいたニックは突然現場を辞める。同じ朝、黒人市議会議員のウィン(ジョー・モートン)は学校債を発行すべく働きかけていたが、悪徳市長バッチ(ルイス・ゾリック)や上層部はスラムL街の最開発をめぐり、私利私欲の策謀に忙しく、耳を貸さない。L街の老朽化したアパートを取り壊し、高級ショッピング・センターの建設を目論む不動産屋。選挙資金のためその不動産屋に献金して欲しい地方検事。その手先の検事補ジマー(マイケル・マンテル)は市長の弱みにつけこみ、再開発を承認させ、市長秘書ポーリー(ジョー・グリファシー)はアパートの住民を立ちのかすべく兄のジョーまでもおびやかす。一方失業したニックは悪友2人と電気店に押し入り、失敗。2人は逮捕される。背後のチンピラたちを仕切るカール(ジョン・セイルズ)は失敗した者をつき放す。2人が警察に行くともう一組黒人のストリート・キッズが取り調べられていた。この2人はジョギング中の大学教授レス(ビル・レイモンド)を襲ったのだが、反対に教授はホモで正当防衛でなぐったと証言して波紋を呼ぶ。その頃逃走中のニックは働きながら大学に通うアンジェラ(バーバラ・ウィリアムス)に出会い、生き様に啓発され愛をも感じながら身を隠していた。しかしカールによって密告されたニックは、嫉妬にかられた彼女の前夫の警察官リゾ(アンソニー・ジョン・デニソン)に追われることに。一方、L街の再開発計画はすすみ、阻止すべく投資家に頼みこむジョーの行動も役に立たない。ウィンもまた苦しんでいた。教授を加害者にした事件は黒人急進派の人々に白人弾劾を叫ばせた。無実の教授を救い、正義の立場を通すか、同胞との融和を図るか。引退した黒人市長エロルは「選挙民が求めるのは強力なリーダーシップ」といい悟す。L街に火の手があがる。13家族が焼け出され、2人が死亡という大惨事となった。ウィンは見放された被災者をそのままにしてはおけず、教授に告訴を取り下げるよう説得し、黒人間の内輪もめをやめさせ、デモ隊を率いた。火事はカールの仕事だった。ニックはカールに喰ってかかるが、尊敬する兄トニーの真実の姿(ゴロツキ)を教えられ、消沈する。そんなニックにリゾは私憤を交えて襲いかかる。心配する妻を振り切ってレスがジョギングに出ると黒人の青年が待っていた。「あんたはホモじゃない。謝るよ」と。教授は静かに「手遅れだよ」とつぶやいた。銃で打たれたニックは人気のない工事現場に身を横たえる。父ジョーが駆けつけ、息子を抱く。ジョーにとってL街もトニーも亡き後、ニックは残された最後の希望だった。