「絹の靴下」のストーリー

ソビエトの作曲家ボロフは、ソ連芸術を示す演奏会にパリへ派遣されてきたが、いつか花の都の情緒に溺れ崇高な革命思想も忘れる始末。そんなボロフにアメリカの映画プロデューサー、キャンフィールド(フレッド・アステア)が、彼の作曲した音楽を使ってハリウッドの水着スター、デイトン(ジャニス・ペイジ)主演の映画を作るため5万ドルの権利金を払おうと申し出た。一方、いつまでも帰らないボロフを呼び戻すためソビエト政府はブランコフ(ピーター・ローレ)ら3人の共産党員パリに派遣してよこした。ところが、この3人もパリ美人にうつつを抜かしてミイラ取りがミイラになる有様。そこでソビエト本国は調査のためにニノチカ(シド・チャリシー)という忠実なる模範共産党員を更にパリへ派遣したよこした。ニノチカは資本主義社会の頽廃した文明に軽蔑の眼を注ぎ、キャンフィールドの頼みもよそに4人の男を連れて帰国しようとした。ボロフを連れて行かれては自分の仕事も駄目になると思い余ったキャンフィールドは、ニノチカ懐柔を始めた。ニノチカはなかなか彼の手に乗らなかったが甘いパリの夜霧は彼女の胸にある種の変化を起さした。やがてハリウッドからスターのデイトンがパリに現われ、彼女はキャンフィールドの命でボロフをすっかり虜にしてしまった。一方ニノチカも自分がキャンフィールドに恋しているのに気がついた。そんなある日ニノチカと4人の男たちはキャンフィールドの映画撮影を見に行った。が、ボロフの音楽は全くジャズ化されたため、ボロフは憤慨、ニノチカも共産主義の信念に背いたことを自覚した。こうしてニノチカと4人の男はソビエトへ帰った。だが国に帰ったニノチカはキャンフィールドへの強い愛情を今更ながら感じた。ブランコフら3人が再び映画輸出でパリに派遣され、またも彼らが戻ってこなかったとき、ニノチカは再び調査にパリへ出たが、その彼女も二度とソビエトへ帰らなかった。