「アナタハン」のストーリー

一九四四年六月、サイパンへ物資補給に向かった五隻のかつお船が、マリアナ群島で敵襲を受け、僅かの軍人と船員がアナタハン島に辿りついた。この島には日下部(菅沼正)という男が、恵子(根岸明美)という他の男の妻だった女と関係を結んで二人きりで残っていた。待望んでいた救助も望み少ないと知ると、人々の関心は自然に恵子に向かうようになり、日下部の嫉妬も、隊長格の天沼(網倉志朗)の威嚇も甲斐なかった。アメリカ軍の降伏勧告も謀略としか信じられなかった一団は、やがて島の中にアメリカ機の残骸をみつけ、仙波(宮下昭三)はそこで発見した指輪を餌に恵子を獲得した。しかし、そこでピストルを拾った西尾(中山昭二)と柳沼(近藤宏)はなお強かった。仙波は西尾にあっけなく殺され。その西尾も柳沼の弾丸に倒れた。一九四九年の元日、嫉妬に狂った日下部は恵子と戯れている柳沼を刺して島の王者となったが、勿ち彼も吉里(藤川準)に殺され、吉里もまた一日も恵子を所有しないうちに姿を消した。残った男達はピストルを海に捨て、改めて合意の上で恵子の所有者を決めようとした。が彼女は既にこの島の生活を嫌いはてていた。アメリカ軍が撒いた出迎えのビラに彼女は疑うことなく従った。やがて日本から恵子が送った手紙は島の男達にはじめて敗戦を信じさせた。ひとり帰国を肯ぜぬ天沼を除いて、男達は英雄として故国に帰って来た。恵子はどこかで彼等を迎え、島の生活を追懐しているに違いない。

今日は映画何の日?

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