「暁の総攻撃」のストーリー

世界大戦が始まってから2年、200キロにわたる戦線一帯に両軍は塹壕を構築し、膠着状態のままで第3年を迎えた。スタンホープ大尉は部隊長として2カ年間第一線を死守してきた。最前線へ送られてきた新しい兵士のなかに、大尉が故郷に残した恋人の弟に当たるラレイ少尉がいた。二人は思わざる奇遇に手を取り合って喜んだが、大尉は長い塹壕生活の間に身にしみ込んだ酒癖を恋人に知られたくなかった。そんなことから大尉は懊悩の日を送っていたがそれを慰めてくれるのは親友オスボーン中尉だった。不気味な沈黙の幾日かがつづいたある日、司令部から隊長スタンホープのもとに伝令が着いた。「将校3名、兵士7名よりなる斥候隊を組織し、敵状を視察せよ」というのであった。大尉は直ちにオスボーン中尉、ラレイ少尉以下8名を決死隊に選んで10名は塹壕を飛び出し暗夜を利用して敵陣深く突入した。それを発見した敵は四方から機関銃の十字射撃を浴びせ、オスボーンほか6名の兵士は戦士を遂げたが、ラレイは使命を全うして帰還し来たるべき大会戦の作戦に益するところは多大であった。数日後西部の野に大激戦は展開され、スタンホープの指揮する勇猛な部隊は幾度となく敵陣目がけて突撃を敢行したが、敵の猛反撃にあってたちまち苦戦に陥ってしまった。スタンホープが塹壕から出ようとした時、1名の傷兵が護送されてきた。それはラレイ少尉だった。大尉は力強くラレイを励ましたが、少尉は健気にその言葉に答えはするものの、重傷のために声は次第に低くなっていくばかりだった。その時、「隊長殿、敵の逆襲であります」の声を聞いて決然と立ち上がった鬼部隊長は猛然として砲煙弾雨の真っ只中に飛び込んだ。その一刹那、飛び来たった一弾はスタンホープの胸に命中し、ついに大尉は華々しく戦場の露と消えた。

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