「狂恋の唄女」のストーリー

ニュー・オリンズの若い実業家アラン・ランドルフは商用でスペイン旅行中一夜清き月光浸う花園のうちに瓏玲たる美人の唄を聞き、周囲のロマンティックな気分に魅せられて、その唄の主なる美人と恋を囁く身となったが、顧問弁護シラムゼーからその美人はスペインで有名な唄女ロジタ・メンデスである事を聞き、かつ故郷に残したもと嫁ヴァイオレットのことを思って明朝の便船で帰国せよと勧められ、アランはその言に従った。ロジタはアランを追ってニュー・オリンズへ来たがこの時すでにアランはヴァイオレットと結婚の式を挙げた後であった。彼はロジタを訪ねて因果を含めて帰国させようとしたが、もとよりロジタはそのようなことで恋を諦める女ではなかった。短銃を出して争う弾みに、彼女自ら傷ついた。しかし恋の叶わぬ恨みから彼女はアランが襲撃したと偽りの陳述をしたので、アランは5年の刑に処せられる。しかしヴァイオレットとアランとの仲に愛児さえあることを知りヴァイオレットの誠心の動かされて、前非を後悔し自白書を書いてアランを無罪にさせ、ロジタは胸の悲しみを笑顔に隠し、再び舞台に立って唄と音楽と舞台とに心の苦しみを忘れるのであった。