「間奏楽」のストーリー

オーストラリヤ生まれのオペラ・スターのルイズ・フラーは、アメリカの滞在期間が過ぎたので、大勢の取り巻き連のいうままにメキシコに言って待機しつつ再入国願いを求めたが許可は容易に下りなかった。ルイズとしては彼女を今日まで養育して来た作曲家で指揮者である伯父が近く開く歌祭りに出場し、伯父に恩返しをするつもりでいたので許可が下りぬと知って焦り出した。彼女が出演しない時は伯父のミッチェルが全生涯の望みたる歌祭りは中止しなければならない。そこで窮余の一策として、彼女はメキシコで会った宿料が払えずに困っている画家ジミー・ハドスンと結婚し、米国人として入国することにした。その時のジミーとの約束は、結婚すれば二千ドル、アメリカに入ると六ヵ月以内に離婚して彼に更に五千ドル払うということであった。ジミーは元来は腕のある画家だったが放浪癖からメキシコにいたのであって、彼も帰国の急用があり便宜上結婚に同意したのである。もっともジミーはルイズに最初から恋心を感じていたが、彼女が社会的名声に束縛され、虚飾の生活をしているのははなはだ不愉快であった。そうした訳で、最初からジミーとルイズは意地張りから喧嘩をしていたものの、ニューヨークに帰ってから、ルイズは次第にジミーに好意を寄せるようになって来た。そして、ある夜、二人がドライヴし、更に田舎にあるジミーの家を訪れてそこで一夜を送った時には二人の心は全く融け合った。そして、二人は下らぬ束縛のある社会を離れ直ちに山へ出発する約束まで結んだ。しかし、その間際に、ルイズは近づく歌祭りのことを想出して、出発を中止しなければならなくなった。これを彼女の見栄と未練と誤解したジミーは立腹し、彼女を罵った。ルイズも腹を立てて彼を罵倒した。新聞がまたこれを誇大に報道したので、ジミーは堪え切れず歌祭りの舞台裏にルイズを訪れ離婚状を叩きつけた。ジミーを心から愛しているルイズは悲しみにくれてもう出場しないと言い出した。そして歌祭りは危うく中止となるところだったが、この時にジミーも初めてルイズの真情を知り、万事はめでたく終わることとなる。