「歓呼の嵐」のストーリー

ブロードウェイのショウ演出家ロウレンス・クロムウェルが娯楽省の大臣に任命されたと知った時、世間は大騒ぎをしたが、彼の任務というのは、世人に幸福感を与えて、以てこの世に繁栄を招来するという事にあった。ロウレンスは全国的に一大娯楽網を張り、ラジオ、芝居、映画の総てに渡って大努力を傾注した。そして児童部をも設け、この部長にメエリー・アダムスを任命した。ロウレンスが余りの過度の仕事で倒れた時、メエリーは彼を看護したがこの時から二人の間に恋の芽生えがあった。だが斯うしたロウレンスの大計画は上院議員その他の嫉むところとなり、彼排撃の火の手が上って来た。ラジオでの攻撃もあれば、上院議員ダンフォースとショートとによるロウレンスの計画の内容調査も行われた。その一方、ロウレンスの事務所には凡ゆる芸人達が採用を願って押し寄せて来たが、その中にはダンサーのジミーとその幼ない娘のシャーリーとが交っていた。然し、ロウレンス排撃がいよいよ盛んになるにつれ、遂にロウレンスも力尽きたと自覚し、職を抛つ覚悟をきめたところ、反対側ではそれの先きを越して、ロウレンスが愈々辞職してまたブロードウェイへ帰るという事をラジオで報導した。これを聞くとロウレンスもカッとなり、最後まで闘い抜く決心の臍を固めた。そして、その為めには児童部を撤廃する事にした。メエリーがそれを諫めたのだけれども彼女の言葉は聞き入れられなかった。そしてロウレンスは、児童部の最後の放送をした。だが、この放送は意外にも大成功だった。そして上院は忽ち手のひらを返した様に、ロウレンスの殊勲を賞めはやすのであった。児童部の放送によって各家庭の子供達は孰れも満足であった、子供達が仕合せなので各家庭までもが孰れも仕合せである、という訳である。そして大統領自らも電話を以てロウレンスに祝意を寄せるまでになった。ロウレンスはこの時、真の功労者はメエリーであるとして彼女こそこの栄誉を荷うべきものと彼女を推すのであった。そして全国をあげて「我等今や赤字を脱せり」の歌の合唱が響き渡った。