「からくり四人組」のストーリー

アメリカ人の悪黨ジミー・バアトンはハンガリーのジプシーで一座のものと旅を続けているザラの偽の降霊術を見て、仲間になることを勧め、説伏せてザラの父ザザラック、その他アントン、カルロなどという一味の者ともどもにアメリカに渡った。それから彼らはザラの美貌と降霊術とを売物としてイカサマを働こうとし、先づ宣傳のために科学者や官憲の前でその試演をして見せた。官憲は直ちにその詐欺なることを看破ったけれども、その寛際を見定めてからにしようと手を控えていた。その内にザラとジミーとは、ブラドショウという男と知り合いになった。このブラドショウは以前メリックという男と共同で株市場に活躍していたのであるが、メリックの死後その娘ドリスの後見人としてその資産を管理している。ザラ一味は彼を招き降霊術によって彼が実はドリスの財産を悪用したことを自白せしめる一方、またドリスが父の霊と語りたい希望を持つのを利して、是れまた偽りの霊を以て、ブラドショウの不忠実な行為を彼女に知らしめた。そしてジミーはドリスと親しくして彼女の財産全部をザラに引渡させ様とした。がその時、ジミーの心に目醒めが来たのであった。彼は愛するザラをして斯の如き悪業を働かしめるに忍びないことを覚った。一味の者は彼の心変りを色々と中傷した。しかし彼の熱意は遂にザラの心を動かし、2人はドリスにその財産を返そうと思い立つ。そしてザザラック一味が2人に襲いかかった時、折も折、警官のお手入れがあった。が、ジミーは首尾よく危地を脱することが出来た。その後ザラの一団はアメリカから追放せられて、またハンガリーに戻り旅廻りを続けていた。ジミーからザラに手紙が来て、ドリスの財産を返したこと、ドリスとブラドショウとを和解させたこと、それからジミーがザラと結婚したいこと、とを言い送って来た。そしてジミーはザラからの返事をもらって彼女に会いに来た。が、ザラは事実ジミーに手紙を出したのではなかった。すべてはアントンの心盡くしからであった。アントンはザラに対する恋を思い切って、愛する2人のためにと犠性になったのであった。そしてジミーとザラとは永久に離れじと固めをなした。