「神ぞ知る」のストーリー

前途多望の青年土木技師ロージャー・ドレークは富豪の娘ジャネット・ストーンと結婚した。広大な邸宅でロージャーは己の職業上の手腕を振るう由もなく遊食していた。2人の間には可愛らしい男児が生まれた。ジャネットは政治に興味を持ち州会議員の候補に立った。家庭はあたかも政党集会所の観を呈した。ロージャーはそれを不快とし遂にその定連の1人と衝突した。彼はそのことで妻に非難された。その内更に大きな打撃が来た。会議の邪魔をしたという処で子供部屋に監禁された彼の愛児は窓から墜落して死んでしまった。かくて夫婦は別居して各自その性質に従って道を歩むことになり、ロージャーは南米のデル・リオの河に鉄橋を架けることを引き受けた。彼は悶々の情を消すべく酒に親しんだ。しかし酒場の踊り子カリタの媚笑には誘惑されなかった。土地に不慣れの彼はやがて激しい熱病を患った。その時親身も及ばぬ介抱をしてくれたのはカリタだった。ロージャーは始めて彼女の純情に感じ優しい恋が芽生えた。ジャネットは良人がいなくては政治的活動をするのに不便なことが多いのでニューヨークから出て来てロジャーに和解を求めた。それを誤解したカリタは棄てられたものと信じてあるに甲斐なき我が身よと、ロージャーが苦心して架けた鉄橋から身を投げて若い命を縮めてしまった。誠の愛はロジャーの手を離れた。彼はカリタを記念するために橋のほとりの崖の上に小さい教会堂を建立して、彼女の命日毎に必ずニューヨークから来て詣でるのであった。