「金は天下の廻りもの」のストーリー

カリフォルニアのあるラジオ会社の社長の息子ロバート・パーカーは親爺の機嫌を損じて馘首され膨れ面で町中をうろつく中、バーバラという娘を見初めて見惚れ危うく自動車に轢かれるところを通りがかりのベイリーという男に助けられた。このベイリーなる者は紳士泥棒でこの時もファースト・ナショナル銀行から出てきた男の手提鞄を奪い逃走の途中だったが、無頓着なロバートはそうとは知らずベイリーに頼まれるるままに、御恩返しのつもりで彼を自動車に乗せ、早速停車場へ駆けつけた。そして発車しようする汽車に彼を乗せたところ、ロバート自身も誤って列車上の人となりそのままベイリーと一緒に旅行することになった。さてベイリーが掠奪した鞄はファースト・ナショナル銀行頭取クウェールの所有品であるが、この日頭取は令嬢バーバラとホレース・ウィンスロップという青年を伴いジャスパヴィルの療養院へいくため問題の列車に乗り込んでいた。そして彼らの滞在費2万1千ドル在中の手提鞄は一汽車遅れて使者が届けるはずだったのをベイリーに奪い去られたのでクウェール一行はこの盗難事件については未だ何事も知らずにいた。またベイリーの方でも鞄の持ち主が同じ客室の老紳士とはしらず世間話などしていた。一方ロバートは令嬢バーバラと懇意になり彼女にその姓名や住所を手帖に書いて貰ったりした。この時早くもその筋の手が廻り二人の探偵がこの列車に乗り込み乗客を調べ始めた。ので、窮したベイリーは自分が泥棒であるとロバートに白状し、盗んだ鞄は返すから自分を逃がしてくれと哀願した。そこでロバートはジャスパヴィルでベイリーを秘かに下車させたが、後で鞄の持ち主がバーバラの父親と知り療養院へ駆けつけて鞄を渡そうとすると中身はすり換えられていた。憤慨したロバートは一時狂人と間違えられたが、やがて彼の言が真実だと解って皆で金を奪還した。