「火山のもとで」のストーリー

1938年、メキシコ、クエルナバカ。美しい火山のふもとに広がる静かな町だ。死者達が年に1度帰ってくるという万霊節の前日、元英国外務省領事のジェフリー・ファーミン(アルバート・フィニー)は、とある酒場にやって来た。彼はそこで、友人のビジル医師からちょうど1年前の万霊節に家出した妻のイヴォンヌ(ジャクリーン・ビセット)が帰っているらしいと聞いて驚く。酒場を出た2人は、舞踏会に出席し、そこで、ジェフリーは、ドイツ大使館の新任官吏にからみ、ドイツを批判、医師があわててジェフリーを外に連れ出した。翌朝、酒場で泥酔しているジェフリーの前に、突然イヴォンヌが現われた。その美しさはいちだんとあでやかだ。彼女は、ジェフリーが、彼の異母弟ヒュー(アンソニー・アンドリュース)といつしょに住んでいると聞かされ、動揺する。ヒューとイヴォンヌは、以前、束の間の情を交した仲でジェフリーもそのことを知っていたのだ。ジェフリーは、イヴォンヌを抱こうとしたが、果たさず家を飛び出していった。その間に帰宅したヒューとイヴォンヌが再会、そこにジェフリーが帰宅、3人は、死者の祭りを見にゆき、闘牛見物をしたり、久しぶりにはしゃいだ。「メキシコを出て人生をやり直そう」と懇願するイヴォンヌに、しかしジェフリーは何も応えなかった。ジェフリーは売春宿を兼ねた酒場エル・ファロリートに舞い込み、そこで以前失くしたイヴォンヌからの手紙をバーテンから手渡される。その手紙には愛をつぐない許しを乞うイヴォンヌの願いが綴られていた。そのころ、イヴォンヌとヒューはジェフリーを探していた。ジェフリーは店を出るが、そこで秘密警察の者が近寄って来た。彼を泥棒かスパイではないかと疑っている様子だ。雨の夜道を急くイヴォンヌとヒューは、無気味に轟く銃声を耳にした。直後、走って来た白い馬がイヴォンヌに体当たりした。倒れるイヴォンヌ…。