「塀の中の懲りない面々」のストーリー

前科13犯の安部直也は恐喝罪、銃刀法違反で懲役3年3カ月の刑を受けて服役中。受刑者たちには窃盗前科21犯で、国公立の場所でしか仕事をしない老懲の忠さんこと小山忠造、紙喰いのメエこと山崎明、看守たちにチクる岩崎源吉、色白の二枚目、松沢英二、脱獄の日に備えて毎日ランニングをする革命の闘士、城山勉などかいた。直也の名は“塀の中の文豪”として刑務所の隅々にまで知れ渡っていて、懲役たちにとどまらず看守からもいち目置かれている。ある日、安部は工場での労働で新入りのサブこと飯田三郎と再会した。彼は土産に持ち込んだシャブを安部に渡すが源吉にチクられ、入所したその日から軽塀禁になってしまった。定年間近の看守の鉄っつぁんが、ドク・西畑に腰痛を診てもらいにやって来た。ドクは医師法違反、前科15犯のニセ医者だが、皆の医療を診て重宝がられている。人情家として親しまれている鉄っつぁんと対称的なのが看守長の鬼熊で、彼は何かにつけて安部を目の仇にし挑発する。一方シャバでは、安部の別れた妻、風見待子が経営する赤坂のクラブ“カサブランカ”で、安部の母、春代が安部からの手紙を読んでいた。離婚の原因は安部の浮気だったが、ふたりは別れた今も愛し合っている。それをいいことに安部は図々しくも、面会許可申請の親族申告書には風見待子・叔母としているのだ。針を入手したことが発端で独居房(懲罰房)に入れられた安部は、隣にかつて小菅刑務所で一緒だったオカマの上州河童が入っているのを知る。彼は相思相愛の大学生に逃げられ、恐喝したのだった。冬になり、出所していたメエが戻って来た。安部に教わった新種の仕事が失敗したのだ。それは金融会社を依頼人と訪ねて、社員が借用書を出すと同事にメエがそれを食べてしまいズラかるというものだったか、下剤を飲まされてしまったのだ。それから間もなく、忠さんが重病になり否々医療刑務所に送られた。春、安部は出所するドクに待子に会って「待っていてくれるか」との伝言を托した。5月5日、宣言していた通り、城山が仲間の手助けによって房を出て行った。安部は一緒に来ないかと誘われるが断る。そして、鬼熊を殴って保安課長の北川に諭されて懲罰房に入る彼に、両親が久しぶりに面会に来た。面会室を出た彼のもとにドクが嬉しい知らせを持って再び入所して来る。