「輝く天国」のストーリー

欧州大戦も終りに近い頃、重大使命をもたらして英国陸軍中尉のフィリップ・グレッソンは戦線後方にあるベルギーの小村落に置かれた師団本部へと伝令として馳せつけた。使命を果たした彼がとある酒場に行くとそこにジュディスという踊子がいて彼を歓待した。ジュディスが彼をもてなしたのには訳がある、というのは彼女は実はドイツ軍の間諜で、グレッソンから重要な書類を盗み出そうとしたからである。時にドイツの飛行機がこの町に来襲して来た。爆弾投下を避けて2人は地下室に逃げ込むが、爆弾はその出口を塞いだ。地下の2人に恋がめばえる。その内に救助隊が来て2人を救い出し、グレッソンは直ちに本部へ呼ばれ、ドイツ陣地へ間諜として赴くように命ぜられる。そこで彼はジュディスに別れを告げに行ったが、彼女は既にそこに居なかった。連合軍の飛行機は夜の闇に紛れてグレッソンをドイツの陣地内に送り込んだ。かつてドイツに留学したことが幸いとなり、グレッソンはドイツ将校に変装してドイツ軍の機密を探ることとなった。が、その内に挙動不審と見られる追跡を逃れて寺院に逃げ込むと、そこで彼は図らずもジュディスと再会したのであった。ジュディスは彼が連合軍の間諜であることを知り、その素性をあばいて味方の軍にひき渡そうとしたが、今は真実に彼を愛する心となっているジュディスとしてはそれが出来なかった。が、遂に意を決してドイツ軍に彼を引き渡した。捕らえられたグレッソンは銃殺されることになった。ジュディスもかくなっては詮すべなく、グレッソンの銃殺と同時に己れも我れと我が命を絶って彼の跡を追おうと決心した。寺院の鐘が時を報じた。射撃班の銃口はグレッソンに向けられた。ジュディスもピストルを己れに向けた。その危機一髪の時、天来の如くに休戦の報がもたらされたのである。命を全うするを得たグレッソンはジュディスと相抱いて身の幸福を喜び合った。