「タッチ 背番号のないエース」のストーリー

双生児の兄弟、上杉達也と和也は、幼なじみの浅倉南と三人揃って明青学園の高等部へ進学した。中学時代からピッチャーとしてならした和也は、野球部へ入部を決めたが、達也は何とはなしに迷っていた。南の言葉や、達也の運動神経を見抜いた野球部部長、児島悠子の勧めもあって、達也は野球をやる決心をする。だが、野球部の部室まで来た時、和也とマネージャーとして入部した南を、公認カップルのようにはやしたてる部員たちの声を耳にしてしまう。そして、ショックを受け、友人、原田に誘われるまま、ボクシング部に入った。幼い頃、達也と和也と南で遊んでいた時、南が何気なく言った一言、「南、ピッチャーが好き」。その時ジャンケンで決まったピッチャーは和也。それが知らず知らずのうち、達也の中にわだかまりとなって残っていた。それ以来、達也は南からも野球からも遠去かって来た。南が本当に好きなのは達也ではないかと想った和也は、達也に話してみる。「つまんないこと考えずに、甲子園をめざせ」と言う達也。甲子園は南の夢なのだ。地区予選が始まった。ところが明青の第一回戦と同じ日に、達也の練習試合が重なった。そして、和也は勝ち、達也は負けた。その夜、上杉家での和也の祝勝会、傷ついた達也に南はやさしくキスをした。明青は勝ち進み、決勝戦の前夜。和也は「ずっとそばにいてほしい」と、南に愛を告白した。南は「いつまでも三人で一緒にいたい」と返事する。和也は想いをふりきるように、南の額にキスをした。翌日、母に言われて和也にお守りを渡すため、達也は一人先に球場に向かった。試合が始まるが、二人共姿を見せない。明青は黒木をピッチャーに、苦戦を強いられながらも頑張る。不安になった南に頼まれて、原田が様子を見に飛びだして行った。和也は子供を助けようとして、トラックにはねられ、病院で息をひきとったのだった。ユニフォームを着た達也が球場に現われ、黒木に代わってマウンドに立った。皆、和也だと思っている。悠子が和也の死を一同に告げた。試合に勝っても没収試合になる。が、頑張っている達也を見て、ナインは燃えあがった。原田から和也の死を知らされた南も、涙を流しながら達也の姿を追っていた。一点のリードを背負って、苦しみながら達也は投げ続け、ラストバッターを打ちとった。