「海浜狂騒曲」のストーリー

ニューヨークのイースト・サイドで多年海水着店を共同で経営していたコーエンとケリーとは近頃その営業成績が思わしくない。当人たちは気がつかないでいるのだが時代遅れと宣伝不足とがその因をなしていた。兼てより恋仲であるコーエンの娘ロジーとケリーの息子パットとは諜し合せて親爺二人を商況祝察旅行へ出し、その後で一挙に店舗の大改造を行いモダン仕立てにしてモデルを傭い披露会を開き、そして最新型海水着の大宣伝を開始した。続いて二人は避暑地アトランティック市に於て1万ドル懸賞美人投票会を開催する準備まで整えた。そのところへ帰って来た親爺二人は会計を調べると預金がわずか1万ドルしか残っていない。吃驚してしまった二人は吝な男とて美人投票の懸賞金を懐にしていつかな出そうとはしなかった。若い二人はこんなにして折角の計画を親爺のために破られるのを恐れ、無断でアトランティック市へ出発してしまう。コーエンはこれを馳落ちしたものと勘違いして馳落者を捕えてくれと同市の警察へ電報を打ってからケリー夫人と共にその地へ急行する。ところが、電報の行違いから却って親爺が捕えられ、おまけに後から馳けつけたケリーとコーエン夫人までが拘引されてしまった。その内美人に投票はいよいよ開始される。が、肝腎の金が間に合わない。ロジーは窮余の一策として競艶会に参加し美事一等賞を獲得する。賞金授与が開始される間一髪、コーエンとケリーとがある悪漢に追われてオートバイで会場へ飛び込んで来た。そこですべてが円満に治まることとなったのである。