「海馬」のストーリー

イギリス人の娘ヘレンはイタリア人ロレンツォ・サルヴィアと結婚し一女を産んだが、無情なロレンツォは妻子を棄てて東アフリカのパンダという寂しい港に赴いてしまった。ヘレンは娘も4歳になったので良人を訪ねてナポリの港を出発した。彼女が乗ったのは英国貨物船で彼女の美貌は一等運転士コクランと三等運転士ハーヴェイとの心を強く動かし彼らは恋仇として争闘を続けたので船長グランヴィルはヘレンに対して警める所あったが、船長自身もいつ知らず彼女を恋慕う身となった。パンダに到着してヘレンは良人ロレンツォが飲んだくれの無頼漢に堕落してしまっているのを知り船に帰った。ロレンツォは原住民兵士を遣わして船長グランヴィルを誘拐罪に問い始めた。船長は金を出してヘレンの自由を買ったが、ヘレンはそれを船長が自分を意に従わせるためと誤解して恐れ娘と共に船を脱してロレンツォの小屋に赴いた。泥酔して眠っていたロレンツォは目を醒ますとヘレンにいどみかかったので彼女は灌木林の中に逃げ込んだ。折よくグランヴィルが来てヘレンを救って村まで送り届け、彼女の娘を取返しにロレンツォの小屋に引返し負傷に屈せず助けて逃れた。ロレンツォは追跡して来たがブランヴィルとヘレン親娘をかばって船に逃してやったコクランのために殺された。原住民兵士たちは船を砲撃せんとしたがコクランは身を犠牲にして船を出帆せしめた。ヘレンは初めてグランヴィルの愛の胸に抱かれた。