「海賊(1931)」のストーリー

ジョニー・ホウクスは学力行しかもスポーツにも興味を持ってハンマー大学の蹴球部の名選手である。富豪の我が儘娘アリスン・コーニングは彼の野性美に心を引かれて宴会に招待する。席上ちょっとした感情の縺れから彼女はホウクスをニューヨークに来ては木偶の棒に過ぎないと嘲る。ホウクスは歯を食いしばったが誘われるままにアリスンの快走船上のパーティーに出席して再び彼女に翻弄される。そして彼女の父の株式店の番頭になり、株屋が善良な市民から金を搾取するためにはいかなる悪辣手段をも辞さないことを目撃する。彼は主人のコーニングに無価値の石油株を一老婦人に売り付けろと命令され、これを拒絶して馘首される。折しもホウクスはアリスンからお茶に招待されたので、ことの次第を語り、彼女の父に復讐してみせると啖かをきった挙句憤然彼女に接吻して去る。ホウクスはコーニング商会在職当時コーニングが酒密輸入に出資していることを知っていたので密輸入仲間のスリムとその情婦ソフィーを抱え込んで、コーニングの密輸品を洋上で略奪し、知らん顔でコーニングに売り付ける。かくてホウクスは大学時代の旧友を部下として「海賊」号を駆使して密輸入仲間の大顔役ビッグ・ジョンが統率するケセーダ号を襲って数回コーニングの荷を略奪したのである。ビッグ・ジョンは復讐を企て、「海賊」号を爆沈し海賊共を全部と、むら気から「海賊」号に乗り込んでいたアリスンとを捕らえてしまう。かくて一同は残忍な復讐を受けようとするが、ホウクスの親友ホッピングの働きで却ってビッグ・ジョン一味を掃討する。コーニングはことの次第とホックスの胆力と実行力とを洞察し、抜擢して大石油会社の社長の地位を彼に与える。アリスンも嬌漫を捨ててホウクスに降伏することは無論だ。