「海外特派員」のストーリー

1938年のある日、ニューヨーク・モーニング・グローブ紙の社長は、不穏なヨーロッパ情勢を取材する特派員として、最も威勢のいい記者ジョン・ジョーンズ(ジョエル・マクリー)を指名した。社長室に呼ばれたジョーンズは、そこでヨーロッパでの平和運動の大立者フィッシャー(ハーバート・マーシャル)と知りあった。やがてジョーンズは、ロンドンへ向かった。彼を迎えた前任者ステビンス(ロバート・ベンチリー)は既に記者魂を失った男だった。間もなくフィッシャーもロンドンに到着し、戦争防止の立役者オランダの元老政治家ヴァン・メア(アルバート・パッサーマン)の歓迎パーティを開き、ジョーンズは、そこでフィッシャーの美しい娘キャロル(ラレイン・デイ)と知りあった。アムステルダムで平和会議が開かれることになり、雨が激しく降りつける中、ジョーンズも取材のために出かけたが、彼の目前でヴァン・メアがカメラマンを装った男に拳銃で撃たれた。傘の間をぬって逃げた犯人は、待たせてあった車に乗り込んだ。ジョーンズは追跡すべく通りがかりの車に無理矢理乗り込んだが、その車には新聞記者フォリオット(ジョージ・サンダース)とキャロルが乗っていた。激しい追跡の末、3人の乗る車は風車の点在する田園地帯で停まった。ジョーンズは風車の1つが奇妙な動きをしているのに気づき、単身、小屋へ忍び込むが、そこには数人の不審な男たちと、先ほど撃たれたばかりのヴァン・メアがいた。彼はナチスのスパイに誘拐されていて、先の殺人は替え玉を使ったトリックだったのだ。やっとのことで、小屋から逃げだしたジョーンズは警官を連れて戻って来るが、すでに痕跡は全て消され、キャロルにも信用を無くしてしまった。ホテルに戻ったジョーンズを2人の警察官を装った男が訪ねた。危険を感じた彼は、窓づたいにキャロルの部屋に入り、彼女に事情を話して協力を得、船でロンドンに帰った。ところが、ジョーンズがキャロルを送ってフィッシャーの家へ行くと、あの風車小屋にいた男の1人がフィッシャーと談笑していたのである。フィッシャーはジョーンズにその男は情報を集めてくれる男だと釈明し、ジョーンズが真相を知りすぎて危険だからと言って、護衛として私立探偵をつけてくれた。しかし、この男は教会塔からジョーンズを突き落とそうとして、誤って自ら墜落してしまった。この事件でジョーンズは、フィッシャーが平和主義者の仮面の裏で、キャロルにも内緒でナチに協力し、しかもヴァン・メア誘拐の張本人であることを知った。ジョーンズはフォリオットと協力してヴァン・メアの居所をつきとめ、救出に成功した。おりから、ヨーロッパでは風雲急をつげ、開戦の号外がとびかっていた。ジョーンズがアメリカへ帰国する飛行機にフィッシャー父娘も乗りあわせていた。フィッシャーは機内で、アメリカに着くと同時に逮捕されることを知り、キャロルに、ドイツ人を父に持つ自分が祖国のためと信じ、ナチスに加担していたことを告げた。その時、ドイツ軍艦の攻撃で、飛行機は洋上に不時着し、その混乱の中でフィッシャーは自殺した。やがてジョーンズ、キャロルたちはアメリカ軍に救助された。そしてジョーンズは、この事件を伏せようとするアメリカ軍を巧みにゴマカし本社へ連絡し、特ダネをものにした。やがて、ロンドンが空襲をうける頃、ラジオ局で、ジョーンズとキャロルがアメリカ向けの放送で、雄弁に呼びかける姿が見られた。