「カッコーの巣の上で」のストーリー

1963年9月のある日、男が1人オレゴン州立精神病院の門をくぐった。その男ランドル・P・マクマーフィ(ジャック・ニコルソン)は刑務所の強制労働を逃れるために気狂いを装っていた。そんな彼を担当医のスパイビー(ディーン・R・ブルックス)は深い興味をもってながめていた。そのマクマーフィが初めてディスカッション療法に参加した。病院は絶対権をもって君臨する婦長ラチェッド(ルイーズ・フレッチャー)の専制のもとに運営されていた。インテリ患者ハーディンを始め、他の患者たちがまるで生気のない無気力人間になっている事実にマクマーフィは驚いた。翌朝のディスカッション療法の席上、マクマーフィはワールド・シリーズの実況をテレビで見れるよう日課の変更を要求した。ラチェッドは一蹴したが、病院の方針により評決は患者たちの投票に委ねられることになった。しかし、賛成投票したのはチェズウィクとテーバーの僅か2人だった。患者たちの協力が必要と感じたマクマーフィは運動を開始した。再投票が行われた。『急性患者』9人全員の賛同を得た。しかしラチェッドらはこの病棟には他に9人の『慢性患者』がいるとの理由で却下した。完全痴呆の慢性患者、その1人1人を口説いてまわり、やっとチーフと呼ばれるインディアン患者(ウィル・サンプソン)の説得に成功するが要求は時間切れで冷たく拒絶された。ある日、マクマーフィは患者たちをレクリエーションに連れていく予定のバスを奪い、彼らを小さな港に連れていく。彼の女友達キャンディも一緒だ。船をたくみに借り出したマクマーフィらは一路外洋へと乗り出した。フレディリクソン、マルティニ、セフェルト、ビリー……誰もの顔が小さな鳥籠から大空に放たれた小鳥のように生き生きとしていた。それ以後も、マクマーフィは次々とラチェョドの専制的体制に反抗を続けた。次のディスカッション療法のとき、タバコの配給のことから看護人と争った彼は、罰としてチェズウィクやチーフと共に電気ショック療法に送られる。さすがに不安になったマクマーフィを勇気づけたのは今まで誰とも口をきいたことがなく口が不自由だと思われていたチーフダった。チーフがマクマーフィに対して初めて心の窓を開け始めた。2人は秘かに脱出計画を練った。決行日が近づいた。ある晩、マクマーフィは看護人を買収し、キャンディらを引き込み、お別れの乱痴気パーティを開いた。キャンディに恋したビリーの告白をきいたマクマーフィは、一夜の思い出にと2人を別室に送り込んだ。病院に朝日がさし込むと、看護人が現われ眼をまわした。室内は乱れに乱れ、患者たちが眠りこけているのだ。ラチェッドに、全裸でキャンディと寝ているところを目撃され攻められたビリーが自殺する。平静さを装って勤務につく看護婦ラチェッドの冷酷さにマクマーフィの怒りが爆発した。あやうく彼女を締め殺しそうになった彼は病室から連れ去られた。数日後、1人ひそかにその帰りを待つチーフのもとへ、今や額にロボトミーの跡をつけ、植物人間と化したマクマーフィが戻ってきた。怒りと悲しみ。マクマーフィをこのままここに置くにしのびないと感じたチーフは、枕を押しつけ彼を窒息死させた。チーフにとってそれが最後のマクマーフィに対する友情の証しだった。明け方、窓をぶち破り、祖先の愛した大地を求めて走り去るチーフの姿が、逆光の朝日の中にあった。

今日は映画何の日?

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