「エンジェル・アット・マイ・テーブル」のストーリー

ニュージーランドのサウスアイランド。1924年8月双子の姉妹として生まれたジャネット(アレクシア・キオーグ)は、もじゃもじゃ頭の赤毛の6歳の女の子になっていた。父の転勤でオアマルに移り村の小学校に入った彼女は、ポピーという少女と仲良しになる。彼女からファックという言葉を教わったりもするが、ポピーの兄テッドとジャネットの姉マートル(メリナ・バーネッカー)のファックの現場を目撃したのを無邪気に報告したので、逆上した父親(K・J・ウィルソン)からポピーとの交際を禁じられる。そんなジャネットはかたときも本を放さない少女に成長していき、15歳になった頃には、彼女(カレン・ファーガソン)はロマンティックなものに憧れ、将来は詩人になろうと心に決めていた。さらに姉マートルの死、戦争の勃発などを経て18歳になったジャネット(ケリー・フォックス)は、教師を目指して師範学校へ進むことになり、妹イザベル(グリニス・エンジェル)とともにダニディンのおばの家に下宿することになる。学校で彼女は女生徒たちの瞳れであるフォレスト教授(コリン・マッコル)に出会い、文才を認められるが、社交的で友達も多いイザベルに比べ大勢の人間の集まるところが苦手なジャネットは、監察官が参観する授業で極度の緊張のあまり教室から抜け出してしまい、絶望感に襲われ自殺未遂を計る。教師を諦め、執筆活動を続けようとする彼女はフォレスト教授の紹介で精神科病棟に入院するが、精神分裂症と診断され、精神病院に送られる。その間も彼女は必死で執筆を続けるが、八年間に200回ものショック療法を受ける。さらに母親(アイリス・チューン)の同意のもと、恐ろしいロボトミー手術を受けるという寸前、彼女の短編集「礁湖」が文学賞を受賞したためにそれを逃れ、やっと退院、自由な文学活動ができる平穏な日々を獲得する。そして作家のフランク・サージソンの理解を得、また文学基金からヨーロッパ滞在の奨学金を得た彼女は、初めてニュージーランドを離れ、ロンドンで暮らすことになる。下宿先ではアイルランド人パトリック(デイヴィッド・レッチ)に親切にしてもらい、夏に出かけたスペインのイビサ島では、詩人志望のアメリカ人ベルナード(ウィリアム・ブラント)と初めての、だがひと夏の恋を経験するが、ロンドンに戻った彼女は妊娠し、流産してしまう。自らの意志で病院へ向かった彼女は、精神分裂症ではないとの診断を受け、病いの呪いから解放される。入院中の体験を描いた「水の中の顔」もベストセラーになるが、そんな折り、父の死の知らせが届く。ニュージーランドに戻り、新たな気持ちで作家として出発しようとするジャネットを、故郷は静かに優しく迎え入れようとしていた。