「私の太陽(1935)」のストーリー

ロンドンの興行師グランヴィルは、来シーズン上演するオペラの新スターを発見する為、妹のフランセスを欧州大陸へ旅立たせた。フランセスは作曲家オリヴァーと一緒に大陸を隈なく探し廻ったが遂にこれと云う新人も発見できなかった。或る夜ウィーン郊外の旗亭でヨゼフ・シュタイドラーというテナーを聞いて、フランセスはオリヴァーの反対を押し切り彼と契約を提言したが、意外にも即座に拒絶されてしまう。しかしシュタイドラーの友人フロリアンの計らいで交渉は翌日に持ち越されたので、その間にフロリアンは色々彼を説いたが、シュタイドラーと伴奏をしている妹のアンナは、どうしてもウィーンを去らぬと云い張った。そこでフロリアンは先ずアンナを口説き落として遂に彼の契約を完了し、彼はロンドンへ出発する。グランヴィルは始め妹が田舎者を連れて来たのに腹を立てたが、シュタイドラーの歌を聴くや大変乗り気となって試聴会を催す事になる。このデヴューで心中秘かにフランセスを恋するシュタイドラーは、一意彼女の為に唄って大成功を納め、いよいよ彼を主役として「ヴェネチャの月」が上演される事になった。しかしオリヴァーとフランセスが余り親密なのを見てシュタイドラーは意気を失うが、彼女は二人の間に何も無いと云って彼を鞭撻した。興行は果たして大成功であった。ところが二幕目にオリヴァーはフランセスとの婚約を発表した。彼は前からこの興行が成功したら二人は結婚すると許しを得ていたのである。シュタイドラーは希望を失って後を続ける勇気もなくなったが漸くフランセスに鼓舞されて終わりまで唄い続けた。劇場の内はしばし拍手も鳴り止まぬ熱狂振りであったが、フランセスを失ったシュタイドラーにとってロンドンはもはや悲しみの牢獄に過ぎなかった。彼は凡ての契約を棄ててウィーンへ帰った。そこでは昔なつかしい人々が彼を待っている。妹のアンナが待っている。こうして彼は再びウィーンの人々と声を合わせて歌うのだった。

今日は映画何の日?

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