「想い叶うて」のストーリー

あるセメント会社の電話交換手をしているピンク・ワトソンは、毛皮のコートと蘭の花の生活に年頃の乙女らしいあこがれを抱いて、会社のトラック運転手ブロムの求婚を退け、富豪の出入りする有名なホテルの交換手となった。交換室に向き合ったホテル内の一隅で花を売るアーミンツルードという虚栄心と図々しさとの固まり見たいな女は、ピンクの初心さと質素な衣服とに対する優越感からこと毎に侮辱と誇示とを以てピンクに接した。ある日ホテルに石油王リチャード・テーボアが投宿したが、彼は若い富豪にも似ぬ初心者で、金を目的に女にたかられるのを殊更に嫌いホテル滞在中は侍僕ハンクと表面だけ位置を取り替えることにした。喜んだハンクは金を自由に使えるし女にはチヤホヤされるし有頂天になって遊び回った。一方リチャードは交換室に座っている可愛らしい断髪娘が大変に気に入り、話してみるとピンクも何うやら自分を好いているらしい上に、彼女は自分が侍僕であると信じていることが解った。彼は益々ピンクの気性に惚れ結婚を申し込むと、快く承知したので早速結婚式の衣装を買いに行き、ピンクの望みの毛皮のコートも、大きい蘭の花も買い求めて、何某ホテルのリチャード・テーボアに請求せよと衣装店主に云った。ところがその日の新聞にはテーボアに成り済ましたハンクが例の花売女と酔った間に結婚して大見出しで載っていたので、衣装屋は警官を呼びリチャードを騙り屋として引き渡したので、リチャードは留置所に投込まれた。困惑したピンクは一先ずホテルに戻るとハンクに出会ったので直ぐ様彼を警察に同道しリチャードの釈放を乞わしめた。かくて素直なピンクはお金持ちの奥様になったが横着な花売り女は侍僕の妻にしかなれなかった。