「踊る海賊(1936)」のストーリー

カリフォルニアがまだスペイン領であった1860年の物語である。ボストンで踊りの教師をしていたジョナサン・プライドは、常時近海を荒らしていた海賊船に誘拐され、労役に使われていた。ある日海賊船は飲料水を得るために南加州の港に這入った。港を一望に見下ろす丘の上にラス・パロマス市がある。海賊襲来の報に市長は戦闘の準備を命じた。ジョナサンはこの機会に船を脱走しパロマス市に救いを求めたが、かえって海賊の一味として死刑を宣告された。処刑は市の記念日に行われることになったが、市長の娘セラフィーナはジョナサンが海賊ではなく踊りの教師である事を知り、その頃欧州から伝来したワルツを習いたいと父を説いて刑の延期を頼む。市長はその真偽を確かめるため、市民の前で彼を踊らせ、もし踊れなかったらその場で死刑執行ということにした。ジョナサンは絞首台上でギターに合わせてフーバンゴー・リズムの素晴らしい踊りを見せた。市長は娘の乞いを容れ処刑を中止して彼を娘の舞踏教師にしたが、男の腕を女の腰にあてる踊りが当時スペインになかったので、怪しからん奴だと、再び獄に投ぜられる。その夜セラフィーナは牢獄に飛んで来てジョナサンを外に出し、美しい月光の下で彼と踊った。いつか人々が相集まって絢爛たる郡舞が展開される。折しも総督府の守備隊長バルタザールが軍隊を率いてパロマス市に到着した。セラフィーナに恋している彼は、彼女の婿となると同時に父親の財産も横領しようと企んでいたので、邪魔者のジョナサンを早速死刑にしようとする。ジョナサンを愛するセラフィーナはバルタザールとの結婚を条件に彼を逃がしてもらった。淋しくこの地を去ろうとする時、ジョナサンは守備隊長バルタザールが政府の軍人とは真っ赤な偽りで、無頼の徒を集めた脱走者の集団である事を発見した。彼は直ちに原住民の一隊を率いて、結婚式の日にバルタザールとその部下を全滅せしめた。こうしてジョナサンは市民の歓呼を浴び筒、セラフィーナの手を取った。