「夜の騎士道」のストーリー

世智がらい現代と、昔日のロマンチシズムの時代のほぼ中間、つまり、第一次世界大戦によって終りをつげた時代の話である。フランスの或田舎町にある第三三騎兵隊の中尉アルマン(ジェラール・フィリップ)は、ドン・ファンの名に適わしい人物だった。その彼がある時、同僚達と賭をする。一カ月以内に、偶然の選択によって選ばれた女性の恋人になってみせると高言する。その代り、大演習に出かける前の晩の豪華な晩餐会の費用はアルマンが賭に勝ったら町の人々が払い、負けたら騎兵隊の将校達が自腹をきることになる。翌日アルマンの賭の相手が決まる。マリイ・ルイズ(ミシェル・モルガン)という名前で、パリ生れの女。この町に最近やって来て婦人服店を開いている。離婚したばかりの彼女は、噂によると、この町の上流社会の名士ヴィクトル(ジャン・ドザイ)に求婚してもらおうと望んでいるということだった。アルマンはルイズを追っかけ廻すが、あくまでも素気なく、冷くあしらわれる。ドン・ファンとしては思ってもみないことだった。遂に彼は奇蹟を待つ外はなくなった。ところが、ある舞踏会の折、その奇蹟がもちあがる。ルイズとアルマンがワルツを踊っている間に彼女が自分に無関心でないことに気付く。ヴィクトルがいなければ、翌日のランデヴーの約束さえすることが出来たろう。忽ちライバル同士の争いが起り、町中が悪口の云い合いになる。スキャンダルが持上るのを恐れた連隊長はアルマンに命令して二週間ばかりこの町から遠ざけてしまう。アルマンから離れてしまったルイズは再び冷静さをとりもどす。彼女はアルマンの過去や、どうして自分に近付いたかという噂を聞き、彼が恐ろしくなり、ヴィクトルの求婚を受入れようとする。ところが折も折、アルマンは決闘して重傷を負う。ルイズはアルマンを忘れかねていたため、二人の恋は遂に実を結ぶという結果になってしまう。すでにアルマンはルイズを心から愛してしまっていた。いよいよ一ヵ月前から予定されていた晩餐会が開かれアルマンは席上で本当に彼女を愛していると語ると“またアルマンが冗談をとばしている……”といい聴衆は彼の宣告を誰も真面目にとらない。ルイズは初めて自分が賭の対象にされたことを知る。アルマンの言訳が後に立つ筈がなかった。一夜明けて、軍楽隊を先頭にアルマンの連隊は大演習に出掛けて行ったが、ルイズの窓は遂に閉じられたままだった。

今日は映画何の日?

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