「愛は霧のかなたに」のストーリー

絶滅の危機に瀕しているという中央アフリカの山奥にだけ棲息するマウンテンゴリラを救うため、婚約者を米国に残し、単身アフリカに向かったダイアン・フォシー(シガニー・ウィーヴァー)をナイロビ空港で出迎えてくれたのは、彼女の協力の申し出を受け雇ってくれたリーキー博士(アイアン・クスバートソン)だった。ところが博士は、地図とジープを彼女に残すと、全てを任せると別の地へ旅立ってしまった。ダイアンは山裾の村で数人の作業員とガイドのセンバガーレ(ジョン・オミラ・ミルウィー)を雇い、内乱の国コンゴの山奥へと向かうのだった。何とかゴリラ研究家シャラーがかつて住んでいた小屋にたどりついたダイアンであったが、密林の中を歩き回るだけの日々が続き、絶望的な気持ちを抱いていたそんな6週間目のある日、ふとした偶然から彼女はついに、排泄されたばかりの糞とその近くにいた数頭のゴリラの群れを発見する。そして数日後、感動的なゴリラとの触れあいに成功したダイアンは、次第に彼らの中に溶け込んでゆき、リーキー博士宛の報告書を書く仕事も順調に進んでゆく。ところが彼女は、内乱によって突然現われた兵士たちにキャンプからの追放を命じられ、ルワンダに住む博士の友人ロズ・カー(ジュリー・ハリス)のもとに身を寄せる。絶望の思いに駆られるダイアンの心に、再び熱い勇気を与えたのはロズ・カーのアフリカをこよなく愛する心であった。ダイアンは再び山に登り、小屋を建て、カリソケ研究センターを開設するが、ある日密猟者によって5頭のゴリラが殺され、子供のゴリラが連れ去られる事件が起きた。しかし彼らは政府の役人の許可をとっており、ダイアンは不条理な憤りに胸をつまらせる。そんなある日、カメラマンのボブ(ブライアン・ブラウン)が彼女のもとを訪ねて来て、いつしか彼との深まる愛に心安らぐダイアンであったが、密猟者によって雄ゴリラのデイジットが殺されたという事件は、そんな幸せをも破壊した。冷静な科学者の姿を失い、ゴリラのことしかない彼女との結婚をあきらめたボブは、仕事のために他の地へと去ってしまった。やがて助手としてこの地にやってきた若き研究者たちの思うに任せない様に反感を露骨に現わす彼女は、いつしか人々からゴリラを愛するあまり狂ったと思われるようになる。そして85年12月、ダイアンは18年間過ごしたセンターの小屋の中で何者かによって惨殺され、その一生の幕を閉じるのだった。