「岡惚れハリー」のストーリー

ハリーは誰一人身寄りもない一人ぼっちの可哀想な若者だった。彼は貧乏で物置小屋の片隅に起伏していなければならなかった。そして彼の親方はハリーに対して決して優しくわしてくれなかった。彼は襤褸で作った人形を唯一人の相手にして寂しく暮した。彼は他の人々のように家族を持ちたいと何んなに望んでいたことだったろう。ある日ハリーは望遠鏡を覗いている時美しい乙女を見て、一目惚れに恋して了い早速、ラヴレターを伝書鳩に託して彼女に送った。けれどもその手紙はあらぬ人の手に渡って了った。そして彼女は他の男と結婚した。それは余り幸福な結婚ではなかった。極貧のために結婚生活は難破した。彼女は良人の許を去り雪の降りしきる中に昏倒して了った。ハリーはそれを見つけて驚き親切に彼の小屋に運び入れて介抱した。彼女はやがて赤ん坊を産み落とした。ハリーはどんなに喜んだことか。今や彼には面倒を見てやり世話をしてやるという一人前の男らしい経験をしているのだ。彼は可憐なる母と子とのために一生懸命に働いた。彼は彼女が猶ほ別れた良人を愛していることを知っていた。しかしハリーは強いてそれに気付かぬ風をして自分の妻子であるかのように装った。一方彼女の良人は妻を探し歩いていたが、到頭クリスマスの前晩に居所を見付けた。その時ハリーはサンタ・クロースの真似をしていたのだった。内気なハリーは恋の告白を一度もしなかったので彼女は良人と共に去った。彼らは感謝の言葉を彼に浴せたが、彼らが大変な不幸をハリーに賜物したことには気が付かなかった。彼は階段に腰かけて彼らの行方を見送った侭動かないでいた。翌朝彼の親方が彼を呼びに来た時ハリーは凍りついて了って眼を動かすことだけしか出来ぬようになっていた。