「おお母よ」のストーリー

財産を失い父を失ったセリナは友のジュリーの父の世話でシカゴに近いハイ・プリーリーの町の学校に職を得た。彼女はクラアス・プウルという剽軽者の家に下宿した。農園で知り合いになったパーヴィス。デジョングの妻となったセリナは夫が村一番の貧乏農民なので一緒に野良仕事をしなければならなかった。ダークという息子が生まれた。パーヴィスは頑固な男で新しい耕作法を用いなかった。労苦と貧苦とは彼の健康を損ないやがて世を去った。彼女は収穫物を自ら市場に売りに行ってふと幼友達のジュリーに遭った。ジュリーの父は親切にセリナに金を貸してくれた。彼女はそれを資金に農場を革新し、ダークを大学に遣ることが出来た。ダークは腕利きな建築家になった。セリナは50歳の誕生祝を開いた。お客たちの中にはシカゴの社交界の花形ストーム夫妻も来ていた。ストーム夫人は眉目秀麗なダークに思いを寄せ、彼を口説いて駆け落ちしようとしていた。それを知った老母セリナの心は痛んだ。彼女が50年の苦闘は今や水泡に帰せんとしつつあった。彼女は戦った。尊い母性愛より出たる戦いであった。そうして愛する伜を抱くことが出来た。