「狼王“ロボ”」のストーリー

1889年の春。西部の奥地に毛皮商人たちから「エル・フェロツ」(獰猛なもの)と呼ばれ恐れられている狼がいた。ある日、エル・フェロツは5匹の子狼の父親になった。その中の1匹が後の狼王ロボだった。数週間後、独りで遊べるようになったロボは、カモシカの赤ん坊と無二の親友になり毎日遊んでいた。そのころ、母狼は、牧童たちの銃弾にあたって殺された。ロボは初めて知った。人間に「銃」という恐ろしい武器のあることを……。また、父狼も人間の仕かけた罠にかかって死んでいった。やがて、ロボはある群れのボス狼を倒して自らボスの地位についた。そしてかねてから願っていた通り、美しい黒色の雌狼、ソンブラを妻とし、断崖の穴倉住宅に新居を構えた。やがて、ロボとソンブラの間にかわいい子供が生まれた。ロボは家族ができた以上、養わねばならなかった。その時以来、ロボは最も獰猛な狼として南西部一帯に鳴り響き、彼の首に千ドルの懸賞金がかけられるようになった。そうしたある日、テキサスから数頭の猛犬を引き連れた猟師がのりこんできた。そして、一本橋を渡ってすみ家に帰るロボを発見した。狼の習性を知りぬいている彼は、その一本橋のたもとに強烈な罠を隠して待ちぶせた。その翌朝、運悪く妻のソンブラが罠にかかり猟師に捕らえられてしまった。ソンブラを捕らえた猟師はすぐ撃ち殺そうとしたが、狼は夫婦愛が極めて強く、一方を捕まえると必ず片方が奪い返しに来る習性を思い出し、ソンブラを牧場の小屋に閉じ込め、奪い返しに来るロボを狙う計画を立てた。果たせるかなロボは妻の危険を知って、夜に乗じて現れた。そしてロボを先頭とした狼の一群は牧場の牛に襲いかかった。驚いた牛の群れは暴走をはじめ、アッという間に柵を破り、ソンブラが閉じ込められていた小屋を引っくり返した。ロボは妻の救出に成功したが、もはやこの一帯は安全な場所ではなくなったことを知った。そして、一群を引き連れると、未開の奥地へ安住の地を求めて去っていくのだった。

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